かわら版

2011年9月25日

 

846  ものづくりの魂と現場の力

 

 敬老の日の19日、大田区の中小企業二社と、自動車会社の横浜工場にお邪魔し、最近の円高の影響を中心に、意見交換をさせていただきました。製造の現場を自分の目と耳で感じ、経営者や従業員の方々の「生の声」をお聴きすると、経済指標の数字だけでは見えない、新しい発見が必ずあります。

 1ミクロン単位の精度の加工で勝負し、精密機械も凌ぐ職人さんの匠の技。スマートグリッドといった新たな成長市場に攻めの姿勢で挑戦する老舗のめっき会社。池井戸潤さんが「下町ロケット」で描いた、夢と情熱と矜持を持った大田区の中小企業は、決して小説の中だけの話ではなく、今ここにある日本の強みだということを、工場のどこか懐かしい油のにおいとともに、実感しました。

 一方で、昨今の円高については、過去のどの局面よりも危機感が満ちていました。「取引相手が海外に出てしまうと、自分の会社も日本での生産を維持できない」「今後の先行きが見通せず、資金繰りは厳しい」「若い世代へ技能を伝承するために試行錯誤している」経営者の方々との懇談の場では、そうした声が相次ぎました。

 優れた技術を持つ企業ですら、このような状況です。なかなか「オンリー・ワン」になることが難しい多くの企業の苦境は、はかり知れないものがあります。過度な円高で、本来は日本に残すべき技術や人材までが海外に流出してしまうことがあってはなりません。

 産業の空洞化を防ぐために、来るべき三次補正予算では、中小企業の資金繰り支援の強化などにも、しっかりと取り組みたいと思います。

 最先端の電気自動車の技術開発と生産の現場も拝見しました。政府の立地補助金が呼び水となって、国際競争に立ち向かう前向きな投資をし、国内の雇用にコミットしていただいているのは、ありがたい限りです。

 何よりも素晴らしいと思ったのは、ここでも「現場」の力です。そして、それを強みと熟知している経営陣の皆さんです。

 最も印象的だったのは、現場のベテランの一人が、訴えかけてこられた瞬間でした。すごい「目力」に、強い思いが込められているのを感じました。

 「戦争に敗れ、何もかも失った我が国が戦後に復活したのは、誇りと夢を持った現場の作業員がいたからだ。先人達から受け継いだ《ものづくりの魂》を活かし、コストや品質面での競争に打ち勝つチャレンジ活動を続けたい!」

 こうした現場の持つ技術力と、情熱は、すばらしいものがあります。これを萎えさせることがあってはなりません。国として、戦略的に日本の強みを活かしていく対応を考えていくつもりです。

    平成23年9月25日   野田よしひこ

 

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