
かわら版 No.1480 『財政規律ある経済対策』
2025/11/14
先月(10月)、およそ3千品目以上の食料品が値上がりしました。国民のくらしの厳しさは、日増しに大きくなっています。足元では企業収益の減少と先行き不安により、継続してきた投資と賃上げにブレーキがかかる可能性が出てきました。
さらには私たちの生活を支える医療施設、子どもたちの未来をつくる教育施設など、社会基盤となる全国の施設の経営はひっ迫し、事業の継続が困難になりつつあります。これらの混迷の共通の原因である「物価高騰」は、歯止めのかからぬ円安により助長されています。
加えて、全国ではクマの出没が相次いでおり、過去最悪の人的被害が発生しています。また過去に例がないような集中豪雨も頻発するなど、自然環境の大きな変化の中で国民生活が大きく脅かされる状況となっています。
今こそ政治の役割が大きく求められているにもかかわらず、政権を担う自民党は総裁選挙などにより3か月もの政治空白をつくり出しました。国民生活のひっ迫が一刻の猶予も許されない状況ですから、早期に補正予算を編成すべきです。
しかし、補正予算案の国会提出は来月(12月)中旬になりそうです。自民党の危機感の乏しさは誠に残念です。立憲民主党は政治の停滞を打ち破り、閉塞した経済状況を根本から転換するため、「くらし」「いのち」「賃上げ加速」を柱とする実効性のある経済対策をとりまとめました。
⑴ くらしを守る(所要額5兆2166億円)
令和8年10月1日から飲食料品にかかる消費税率を時限的にゼロ%にするまでのつなぎ措置として、「物価高・食卓緊急支援金」を導入します。対象は中低所得者世帯で1人当たり3万円。加えて子ども1人当たり2万円が支給されます。
地域の実情に応じた生活支援(重点支援地方交付金)、暫定税率廃止及び関連支援等も盛り込みました。
⑵ いのちを守る(所要額2兆1955億円)
経営困難な公立・公的、国立大学病院、民間など病院に対しては病床単位で、診療所に対してはレセプト単位で支援します。全ての介護・障がい福祉施設に対する支援、訪問看護ステーションに対する支援は施設単位で行います。
公立学校老朽化対策や体育館等への空調整備対策なども実施します。
⑶ 賃上げを加速する(所要額1兆3392億円)
保育士・幼稚園教員、学童保育指導員・児童養護施設職員等については月額1.5万円、介護・障がい福祉従業者等についても月額1.5万円、医療機関従事者については月額1万円の処遇改善を行います。
中小企業についても新たに雇入れた正規社員に係る社会保険料の事業主分の軽減、価格転嫁等の適切な実施を進めるための予算措置等を導入します。
財源は税収の上振れ、外為特会剰余金、積み過ぎた基金などを活用し、赤字国債は発行せずに「財政規律ある経済対策」を実現します。