
かわら版 No.1509 『附則と附帯決議』
2026/07/13
憲法第1条で、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」ものとされていることに鑑み、皇室典範の改正は政党間の幅広い合意が必要です。そのためには、政権与党には「大同を求めて小異を残す」度量が求められていました。
ところが、国論を二分するような政策もとっとと決めていこうという政権が誕生し、多勢に無勢の下で何でも押し切られる可能性が高まりました。そこで、中道改革連合は典範改正にあたり、党の主張が将来に検討・再検討される拠り所をつくろうとしました。
まずは「附則」。附則も紛れもなく法令の一部であり、本則に劣らないほど重要な事項が定められることが多々あります。たとえば、社会保障と税の一体改革は、所得税法等の一部を改正する法律の附則第104条を根拠に実現されました。
また、2017年6月、天皇の生前退位を可能にする「皇室典範特例法」が成立しましたが、この特例法も典範の附則で位置づけられていました。そのお陰で、約200年ぶりに天皇の退位が実現し、御世は平成から令和に変わりました。
今般は立法府の総意により皇室典範本則第12条が改正され、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持できるようになります。女性皇族の夫と子の身分については、現時点では何も決まっていません。が、改正法附則に検討条項が定められましたので、女性皇族のご結婚が現実味を帯びてきた時、夫や子も皇族にするのかどうかが検討され、適時適切な措置が講ぜられることになります。
さて、このたびの典範改正は、2017年の皇室典範特例法に対する「附帯決議」に基づきます。附帯決議とは、法案や予算などの議案を採決する際に、その運用や実施にあたっての留意事項・要望を付け加える国会の意思表示です。野党にとっては、主張を少しでも政府に取り入れさせるための重要な手段です。中道はこの附帯決議を拠り所に政府に検討を迫りたいと考えました。
それは、養子縁組案についてです。衆参正副議長がとりまとめた立法府の総意では、旧宮家の男系男子を養子として皇族に復帰させる策を慎重に制度設計するように求めています。ところが、立法府の総意では全く触れられていない養子に男児が生まれた場合に皇位継承権を与える規定が、政府案に盛り込まれていました。
養子の男児の継承権は、政府が一定の予断をもって決めるべきではありません。本来ならば法案の修正を求めるべきですが、数の力でねじ伏せられるのは明らか。そこで、政府に対して「養子男児の継承権の是非に関して速やかに検討」を促す附帯決議を附そうとしました。しかし、これまた自民党に応じてもらえませんでした。
極めて残念な結果になりました。賛否については党の決定に従いました。いつの日か同志を増やした上で、本格的な典範改正の議員立法を提出したいものです。