詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.905 『猪瀬発言』

2013/05/07

  東京都の猪瀬直樹知事が米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューにおいて、2020年五輪に立候補している他都市を批判したことは誠に残念です。


  特に、ライバルのイスタンブール(トルコ)を念頭に、「イスラム教の国が共有するのはアラー(神)だけで、お互いにけんかをしている」「トルコに若者がたくさんいたところで、若いうちに死んでしまったらあまり意味はない」などと発言したことは、不適切極まりません。


  国際オリンピック委員会(IOC)は五輪招致の行動規範で、他の立候補都市の批判や比較を禁じています。五輪精神に基づくルールは順守すべきです。女子サッカーの「なでしこジャパン」の国際的評価が高いのは、単に強いだけではなく、世界で一番反則の少ないフェアプレーに徹したチームだからです。


  私も、東京への五輪誘致実現にむけて努力してきましたが、今回の猪瀬発言が水を差すことのないように願ってやみません。


  さらに、私が心を痛めているのは、世界の中でも最も親日的なトルコ国民を傷つけてしまったことです。実は、日本とトルコは時を越えて友情を育んできた二国間関係なのです。


  明治23(1890)年、親善使節を乗せて来日していたトルコ軍艦エルトゥールル号が、帰路、和歌山県串本の沖で台風に遭い沈没します。乗組員500名以上が帰らぬ人となりました。しかし、この時、遭難現場の串本の人々は暴風雨の中、命がけで救出にあたり、69人を助けます。ケガした人をひとりが兵児(へこ)帯で縛って背負い、後ろから別の人が尻を押すという決死の救出作業でした。それだけではなく、村人たちはなけなしの食糧を遭難者たちに振る舞いました。そして、この悲劇を知った当時の日本人は、一様に深く同情し、全国から義捐金が殺到したそうです。


  エルトゥールル号事件を今の日本人はほとんど知りません。しかし、トルコでは脈々と語り伝えられてきました。教科書にも記されました。


  それから95年後の昭和60(1985)年、イラン・イラク戦争の最中、イラクのフセイン大統領が「イラン領空の航空機を48時間以降、無差別攻撃する」と宣言します。テヘラン在住の外国人は一斉に国外脱出を図りますが、日本政府は救援機を出すことができず、幼児を含む日本人約200名が取り残されます。刻限が迫り、誰もが絶望の淵に沈んだ時、「今こそ、我々が日本人を助ける時だ」とトルコ航空機が危険を冒して日本人を救出しました。しかも、当時、テヘランには600名を超えるトルコ人がいたにもかかわらず、日本人を優先して助けたのでした。


  猪瀬知事はこのような歴史的絆をご存知なかったのでしょう。とにもかくにも、誠意をもって謝罪してほしいと思います。

 

 

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