詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.921 『パッケージ』

2013/09/30

  社会保障と税の一体改革は、経済再生とも一体で進めていくことが重要です。その意味では、消費税率8%への引き上げ後の2014年4~6月期の反動減等に対して、簡素な給付措置や住宅ローン減税などの予算や税制の措置など、適切な対策を講ずることについては理解できます。


  ただし、社会保障と税の一体改革は、


(1) 消費税を社会保障4分野(医療、年金、介護、子育て)に充てることにより、子ども・子育ての分野など人生前半に対する支援を充実させ、全世代対応型の社会保障制度を構築し、全国民が安心して生活できる基盤を作る


(2) 同時に、その負担が現役世代中心となっている構造、更には巨額の財政赤字という形で、まだ選挙権を有しない将来世代につけを回す構造を是正し、これから生まれてくる世代も含めた世代間の公平性を確保する


ことが目的であったはずです。


  しかし、安倍総理の考えている経済対策のパッケージの規模や内容をみると、今選挙権を有する世代のことばかりを考えたバラマキとしか思えません。今の子どもたち、更には、これから生まれてくる将来世代を考える視点が抜けているのではないかと心配しています。


  特に、復興特別法人税の前倒し廃止は全く理解できません。実は、一昨年秋に発足した野田政権の最初の困難な仕事は、東日本大震災からの復興のための財源確保でした。当時、5年間で少なくとも約19兆円の復興費用を要するという試算の下、国家公務員の人件費を7.8%削減するなど様々な財源集めに苦労しましたが、どうしても足りません。そこで、一定期間、特別に所得税、法人税を増税することにしました。民主党、自民党、公明党が党派を超えて知恵を絞った結果でした。その努力は、消費税増税は全額社会保障に充てるというその後の3党合意の伏線になったように思います。


  被災地のために、個人、法人の別なく等しく国民が負担を分かち合おうという「絆」の精神は、多くの国民の皆様のご理解をいただけたものと信じています。にもかかわらず、まだ被災地が復興途上にある中、なぜ法人だけをその「絆」から外すのでしょうか。さっぱり判りません。


  おそらく、自民党税制調査会の良識ある議員の皆さんや公明党のほとんどの国会議員の皆さんは、強い違和感を持っているのではないでしょうか。復興特別法人税の廃止なんて、官邸の一部の考えとしか思えません。ごく少数の法人べったりの声で、政府・与党の重要な意思決定が決まるとは…。おかしな空気が漂っています。


  私は、総理在任中、「明日への責任」を果たすことこそが政治の役割だと、肝に銘じていました。今もその気持ちは変わりません。これからも、その心意気で、政治を少しでも前進させていくよう努力します。

 

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