詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.926 『危機管理以前』

2013/11/05

  わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、外交・安全保障に関する諸課題につき、総理を中心に、日常的・機動的に議論する場を創設し、政治の強力なリーダーシップにより迅速に対応できる環境を整えるため、「国家安全保障会議」(NSC)を内閣に設置しようという法案審議が行われています。


  法案の概要は、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針等の一定の事項について内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣、内閣官房長官による4大臣会合により審議を行うことができることとするほか、内閣官房に国家安全保障局を設置、国家安全保障担当総理補佐官を常設する等により、審議体制を強化するものです。


  通称で「日本版NSC法案」と呼ばれるのは、米国で1947年に初めて設立されたNSCは、大統領が議長を務め、国務長官、国防長官等がメンバーとなる合議体を中心に、外交安保分野における高度な政治的判断を下してきた歴史がありますが、それを日本流に模しているからです。


  私が財務大臣当時にその策定に関わった現行の防衛大綱にもNSC設置の検討は記述されており、私も基本的には方向性は正しいと思います。民主党もNSCが所期の目的のために実質的かつ適切に機能し、その役割を十分に担う組織とさせるため修正案を提出します。与野党の建設的な議論を通じ、より充実した成案がまとまることを期待しています。


  安倍総理が安全保障や危機管理に強い問題意識をもっていることはよく判ります。しかし、総理には敢えて苦言を呈したいと思います。制度改正の前に、総理は公邸に住むべきだということです。


  総理や官房長官、副長官、危機管理監、内閣官房スタッフが執務する官邸には、情報が集中します。その官邸から徒歩0分の近接した場所に、総理や家族が居住できる公邸があります。職住近接はリラックスできませんが、領海侵犯、テロ、突発的な自然災害などいつ起こるかわかりません。やはり、最大の危機管理は、閣議や安全保障会議、NSCを主宰する総理大臣が公邸に住むことです。


  安倍総理の私邸は比較的に官邸から近いそうですが、たとえ車で15分程度でも、時間的にはロスです。加えて、途中で道路が陥没したりした場合はどうするのでしょうか。


  公邸にいまだ住まない理由がさっぱりわかりません。まさか、幽霊が怖いからではないでしょう。ちなみに、私は総理在任中公邸で暮らしましたが、私も家族も幽霊は見ていません。

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