詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.934 『格差』

2014/01/14

  2014年、日本の利害に直結する様々な世界的なリスクに注意深く目を向けていく必要があります。私が最も注視している課題は、所得格差の拡大です。


  まずは米国。所得格差はオバマ大統領が再選された2012年に顕著に現れました。年間所得額でトップ10%に入る富裕層の所得総額が米国全体の50%に達しました(1979年には30%でした)。トップ1%の所得は総所得額の19.2%で、この割合は1927年以来最高です。


  富裕層は一層豊かになり、貧困層は一層貧しくなっている傾向を是正しなければ、オバマ離れが加速するでしょう。


  所得分配の不平等さを測る指標を「ジニ係数」(範囲は0から1で、0は完全な平等を指し、1に近づくほど所得格差が大きい状態を意味する)と呼びますが、2011年(入手できる最新年)の米国のジニ係数は「0.477」でした。社会騒乱発生の警戒ラインは0.4とされており、米国は警戒線上で毎年係数が増えています。


  2011年における中国のジニ係数は「0.474」と、ほぼ米国と並んでいます。2012年には0.61に達したとの見方もあります。社会主義国家である中国の所得格差が主要先進国のそれを大きく上回っているのですから、事態はより危機的です。


  中国の所得格差は一部特権階級への富の集中や政府高官の汚職のイメージと密接に結びつき、この社会的矛盾は中国社会の安定にとって大きなマイナス要素です。暴動や集団抗議などの地方における頻発は、格差社会に対する民衆の不満の蓄積によるものでしょう。軍事費よりも治安対策費の方が予算が多い理由は、こうした背景があるのでしょう。


  所得格差の拡大といった深刻な国内的課題を抱えた米国は、対外政策に関心を向ける余裕を失うのではないでしょうか。米国が内向きになれば、国際社会における影響力は衰退するでしょう。


  一方、同様の課題を抱える習近平指導部は、対日強硬路線をはじめとするナショナリズムの高揚など、民衆の不満のはけ口を対外政策に求めようとするのではないでしょうか。


  米中両大国の国内事情をよく分析し、わが国への影響をしっかりと展望すべきです。


  所得格差の問題は、日本も米中と同じ轍を踏まないようにしなければなりません。株などの資産を有する人はより豊かになり、そうでない人は物価ほどには賃金が上がらず生活が苦しくなる、といった事態は避けなければなりません。


  格差を是正し、分厚い中間層の復活をめざす民主党の真価が問われる年になりそうです。

活動報告一覧へ戻る
HOMEへ戻るpagetop