詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.937 『ルール』

2014/02/03

  ソチ冬季五輪は7日から開幕します。主要競技の決勝は日本時間の深夜に集中しそうですから、寝不足にはご注意を。さて、どんなスポーツもルールに基いて競われますが、とりわけ冬季五輪の競技種目の場合は、ルール変更が勝敗を大きく左右してきました。


  まずはスキーのジャンプ。72年の札幌五輪70メートル級(現在のノーマルヒル)では、笠谷選手を筆頭とする日の丸飛行隊が金、銀、銅のメダルを独占しました。98年の長野五輪でも、日本はラージヒルの船木選手と団体で金メダルを獲得しました。しかし、その後はスキー板の長さや全身スーツについて、小柄な日本人が揚力を生かせなくなるような規則にたびたび改定されました。


  次は、ジャンプとクロスカントリーという2つの競技を組み合わせて行うノルディック複合です。日本は、92年のアルベールビルと94年のリレハンメルにおいて、複合団体で五輪2連覇を果たしています。荻原選手を中心とする当時の日本は、前半のジャンプでトップに立ち後半の距離で逃げ切る必勝パターンを確立していました。が、その後は、前半ジャンプのポイントの比重を下げ後半クロスカントリーの比重を上げるなど、距離重視のルール改正が複数回行われました。以降、日本はメダルに届かなくなりました。


  スポーツ以上に経済活動をめぐるルールづくりは、国家そして国民生活にとって死活的な問題です。ですから、私は総理に就任した直後の2011年秋、環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加に向けて協議に入る政治決断をしました。TPPは、世界の経済成長センターであるアジア太平洋に経済圏をつくるための大きなチャンスであり、そのために貿易や投資のルールづくりに主体的に関わるべきだと考えたからです。


  故なき反対論はいまも根強く残っていますが、鎖国はあり得ない以上、国益を守るべく全力で交渉するしか途はありません。予期せぬ化学反応も生まれました。日本がTPP交渉に向けて舵を切ると、それまで停滞していた日中韓FTA、日中韓にASEAN、豪州、ニュージーランド、インドによる東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、対EUとのFTA交渉も全て活性化しました。


  TPP交渉はいま安倍政権にゆだねられていますが、詰めの段階に入り大変心配になってきました。本来ならば昨年中に妥結しておくべきでしたが、米国で中間選挙が行われる今年まで延びてしまい、米国の要求するハードルは下がってこないような気がします。それでも首脳間に堅固な信頼関係があれば、お互いの指導力で前進させられるはずですが…。


  最後に、ソチ五輪では日本勢のメダルラッシュを、TPPにおいては国益を踏まえた粘り強いルールづくり交渉を強く期待しています。

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