詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.945 『コメの輸出』

2014/03/31

  3月23日から25日まで、香港に行ってきました。機関投資家を対象に「アジアと共に成長する日本」について講演することが、主目的でした。会場に用意された500席はすべて満席となり、会場に入れなかった聴衆はモニターで視聴するという盛況の中、進行役のジョン・メージャー英国元首相の名さばきもあり、講演は好評を博すことができました。


  短期間の窮屈な日程でしたが、大変有意義な現地視察も実現できました。特に、農機のトップメーカーである株式会社クボタが香港市場で高品質な日本米を販売するためにつくった久保田米業の視察は、目から鱗(うろこ)が落ちるくらいの新鮮な驚きがありました。


  同社は、長年、農家とともに歩み育ってきた農機メーカーが、日本の農業を活性化し、日本農業に貢献したいという思いから、海外へのコメ輸出を支援する目的で設立した香港の拠点です。日本米の中でも最高品質に格付けされる新潟県産コシヒカリなどの玄米を日本から輸入し、鮮度を保つべく、現地に設置した工場で精米します。そして、卸売およびスーパーでの販売に加え、オンラインショップも運営しています。


  東日本大震災の直後という、日本産の農産物を最も売り込みにくい時期にスタートしたにもかかわらず、もう既に受注に追いつかない状況となり精米工場の拡張を急いでいるとのことでした。香港の多くの日本食レストランに、精米したての新鮮なコメを提供するにとどまらず、中華料理、イタリア料理、スペイン料理等のお店にも販路を拡大しているそうです。チャーハン、リゾット、パエリアには日本の湿り気のある短粒米は適さないというのが日本人の先入観でした。しかし、おいしい新鮮なコメは他国の料理店でも受け入れてくれるのだそうです。


  クボタは、香港と同様、シンガポール、モンゴルでも玄米を輸入し、現地で精米することにより、おいしい日本産米を提供する事業を開始します。コメを食する文化のあるシンガポールはわかりますが、遊牧民族であるがゆえに穀物を育て食する習慣がなく、羊の肉や乳製品を中心とした食文化の国・モンゴルに進出するとは…。要は、おいしいコメを食べたことがないだけであり、おいしいとわかれば売れるはずだという理由です。もちろん、念入りな市場調査を踏まえた上の決断です。この野心的な挑戦が成功すれば、日本産米の輸出は無限の可能性を切り拓くことになります。


  わが国では食生活の多様化、人口の減少と少子高齢化の進行によりコメの消費量が減少し続けています。また、農家は後継者不足などの課題を抱え、日本農業を取り巻く環境は厳しくなっています。したがって、通商交渉の際には農業は常に守るべき産業と位置づけられています。しかし、コメも含めて日本のおいしい農産物をもっと世界に売り出す「攻め」の姿勢が必要なのではないでしょうか。

 

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