詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.967 『自由貿易』

2014/09/22

  1987(昭和62)年4月、私は千葉県議会議員に初当選しました。そして、議会人としてスタートを切ることになった6月議会で、いきなり悩ましい問題に直面しました。当時、わが国は12品目の農産物を自由化するかどうかで、大きく揺れていました。全国有数の農業県である千葉県においても、重要な争点になっていました。そこで、県議会においても「農産物の自由化に反対する」決議を採決することになったのです。

  その頃の県議会の定数85名のうち、53名が自民党、第2党の社会党が14名、その他、公明党、共産党、民社党は1桁ずつでした。私は無所属で、1人会派「未来クラブ」を名乗っていました。

  私は、自由化絶対反対という立場ではありませんでした。12品目のうち1つ1つを丁寧に検証して結論を出すべきだと考えていました。一方、議員になりたてであったので、最初は「ことを穏便に済ませたほうがいいのではないか」「ある程度円滑な人間関係を築いた後に、自分のカラーを出したほうがいいのではないか」という迷いもありました。

  議会最終日に採決がありました。決議に賛成する議員は起立する「起立採決」の方式でした。結局、「農産物の自由化に反対する」決議は、84対1で採決されました。私は、独り座ったまま立ちくらみがする思いでした。

  これが、私の議会活動の原点です。筋金入りの自由貿易論者です。TPP(環太平洋経済連携協定)の意義を、国会で初めて質問にとり上げた議員も私です。

  人口減少時代に突入し、内需拡大にも限界がある現状を考えると、日本はもっと自由貿易体制を強化し、国際的なルールづくりに積極的に参画していかなければなりません。

  しかし、わが国の経済連携(EPA)の取組みは、周回遅れです。日本の発行済・署名済みEPA相手国との貿易総額に占める割合は22.6%。米国40%、韓国38%、EU30%と比べると、明らかに出遅れています。

  だから、私は総理就任直後の2011年11月、TPP交渉参加に向けて協議に入る決断を下しました。同時に、日中韓、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日・EUなどの交渉も加速させました。交渉中のEPAが全て妥結すると、その貿易総額に占める割合は84.2%になります。そうなれば、世界に冠たる貿易立国と胸を張れるでしょう。

  TPP交渉は、安倍政権に引き継ぎましたが、その交渉は停滞しています。化学反応を起こすかのように、他の国・地域とのEPA(経済連携)交渉も歩みが遅くなっています。足繁く海外出張をしている安倍総理ですが、力強い経済外交の推進に直結していないことがとても気になります。
 
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