詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1002 『東芝、ギリシャ、中国、そして…。』

2015/07/27

  組織的に利益を水増ししていた東芝の不正会計問題は、企業統治元年に水を差す不祥事です。東芝のような伝統ある大企業による投資家の信頼を裏切る行為は、日本企業全体の信用を揺るがしかねません。抜本的な再発防止策が急務です。


  会計を怠る、無視する、操作することを会計の三悪と呼ぶそうです。ジェイコブ・ソールが著わした「帳簿の世界史」は、それで国が滅んだ例をたくさん示しています。民間企業のみならず政府も、適切な会計処理とその公表が求められているのです。


  迷走が続くギリシャ危機の発端も、09年10月の政権交代を機に、財政赤字が公表数字よりも大幅に膨らむことを明らかにしたことに始まります。従来、ギリシャの財政赤字はGDP比で5%程度とされていましたが、実際は12.7%に達していたことが分かりました(その後13.6%に修正)。この財政赤字の隠匿が信用不安をひき起こしたのでした。


  そのギリシャ問題はようやく収束にむかっていますが、次の最大の不安要因は中国です。上海市場の一時の株暴落は、中国政府によるなりふり構わぬ株価下支えにより、落ち着きを取り戻しつつあります。しかし、世界第2位の中国経済の減速感は、日本を含む世界経済全体にとって大きなリスクです。その影響はギリシャの比ではありません。


  足下の中国の景気動向を正確に知りたいところですが、世界第2位の経済大国であるにもかかわらず、そもそもその統計数字が信用できません。別にチャイナリスクを煽ろうというのではありません。中国の中央銀行総裁が国際会議の席上でそのように発言しているのですから…。


  李克強首相は、鉄道輸送量、電力消費量、銀行融資の3つの指標を見て、経済状態を判断すると言ったことがあります。しかし、最近はこの李克強指標も寡聞にして耳にしません。7%成長をめざしていますが、恐らくこの3指標はいずれも伸びていないのではないでしょうか。警戒心をもって注視していくべきでしょう。


  東芝の会計操作、ギリシャの財政情報隠し、中国のいい加減な統計数字。いずれも日本政府には考えられないことです。わが国は適切に会計処理し、正確に統計をつくり、しっかりと公表してきました。しかし、だからといって胸を張れる国でしょうか。


  借金の山は積もり積もって約1千兆円。財政赤字という数字に鈍感過ぎました。しかも、潜在成長率が0%近傍にもかかわらず、楽観的な成長率を前提に財政計画をつくっています。依然として危機感が足りません。

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