詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1032 『介護(職)離職ゼロ法案』

2016/03/14

  国民皆年金、国民皆保険がスタートしたのは1961(昭和36)年です。わが国の社会保障制度の根幹はおよそ半世紀前につくられたのでした。当時の日本人の平均寿命は、70歳に届いていません。「古来稀なり」という古稀という言葉が、文字通り実感できた時代でした。


  しかし、いまや男性の平均寿命は80.5歳、女性は86.8歳と世界一の長寿国です。百歳以上の人口も6万人超です。そして、最も人口の厚みのある世代である1947~1949(昭和22~24)年生まれの人たち、いわゆる団塊の世代が2014年には全員が年金受給世代(65歳以上)になりました。日本経済や流行・文化をリードしてきた人たちが、社会保障においては支えられる側に入ったことは劇的な変化です。


  その団塊の世代が2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催前には、70歳に到達します。古来稀なりの古稀はもはや死語となり、「近年ザラなり」の近ザラの時代に突入します。さらに2025年には、団塊の世代が大挙して後期高齢者(75歳以上)になります。この「2025年問題」という超高齢社会への備えは、待ったなしの急務です。


  特に心配なのは、介護です。「介護離職ゼロ」を掲げる安倍政権は、介護休業の取得を後押しすることなどを盛り込んだ雇用保険法等改正案を国会に提出し、先週審議入りしました。


  介護休業は、家族を介護する必要が生じた働き手が会社に申請して長期の休みをもらう制度です。今は家族の1人が介護を要する状態になるごとに1回、通算93日まで休みがとれます。改正案では、これを3回まで分割して取得できるようにします。また、休業中にもらえる給付金もこれまでの賃金の40%から、67%に増やすことにしています。しかし、同法案については、より柔軟でより長い休みを求める声が多く寄せられています。


  民主党は、介護休業の見直しだけでは、年10万人と言われる離職者を減らすのは困難だと考えています。より本質的なことは、介護職員の処遇改善に真剣に取り組むことです。


  介護・障害福祉従事者は、重要な役割を担っているにもかかわらず、その賃金は他の業種と比較して著しく低い水準にあります。厚労省の調査では、月額で10万円程度も低い水準にあります。にもかかわらず、安倍政権は昨年4月に介護報酬を2.27%も引き下げてしまい、介護分野の人手不足はより深刻になってしまいました。2020年代初頭までに約25万人の介護人材を確保することは、夢のまた夢です。


  民主を含む野党5党は、介護や障害福祉の事業所などで働く人材の賃金を、1人当たり月額で最大1万円上乗せすることを柱とした「介護職員等処遇改善法案」を提出しました。介護離職ゼロのためには、職員の離職ゼロの実現が必要であると確信しています。

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