詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1049 『年金運用損5.3兆円』

2016/08/08

  公的年金の積立金を運用している「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)は7月29日、2015年度の運用損失が5兆3098億円だったと発表しました。この赤字額はリーマン・ショックのあった08年度以降では最大です。


  会社員は厚生年金、自営業者らは国民年金に加入し、コツコツと保険料を納めています。自らの老後の暮らしを支える年金給付の財源になるからです。その積立金総額は約140兆円。そのうち約135兆円をGPIFが運用しています。


  歴代政権下では、国民の老後の生活に直結する積立金なので、国内債券などローリスク・ローリターンの方針で安定した運用を心掛けてきました。しかし、安倍政権は株価を押し上げアベノミクスを推進する狙いから、2014年10月資産構成割合を変更し、国内外の株式の割合をそれまでの2倍の計50%に引き上げました。


  このように株式市場の影響を受けやすい積立金の運用に変えたことが、裏目に出ました。昨年度は中国経済の減速などにより、国内外の株価が下落したため、運用損失が拡大してしまったのです。


  以上が年金損失5.3兆円問題の概要です。私は、3つのことを厳しく指摘したいと思います。


  第1は、発表の時期です。GPIFは、例年7月上旬までに前年度の運用結果を公表してきました。15年度の運用成績も6月末に固まっていました。しかし、公表が7月10日の参院選投開票日後になったことは、選挙への影響を考慮した「損失隠し」と言わざるをえません。民は何も知らなくていい、政府にすべて任せていれば良いのだという「知らしむべからず由らしむべし」は、江戸幕府の統治原理です。「知らしむべし由らしむべからず」という、情報公開の徹底こそ民主主義の鉄則ではないでしょうか。


  第2は、市場のあり方についてです。マーケットは経済の実勢を映す鏡でなければなりません。ところが、内閣支持率と株価が連動しているとはいえ、年金資金を投入して株価を下支えするという手法は、はっきり言って異常です。それに加えて、日本銀行が上場投資信託(ETF)を毎年6兆円買い入れることを決定しました。年金資金を運用するGPIFと日銀資金が実は主役であるような「官製市場」は、市場機能を大きく歪めていないでしょうか。


  第3は、そもそも論です。株価は上がる時も下がる時もあります。バブルが発生する時も弾ける時もあります。そんなハイリスクの資産に、国民の老後の生活を賭けてもいいのでしょうか。「消えた年金記録5千万件」は、民主党政権下で約3割強、約2兆円分を取り戻すことができました。しかし、年金積立金を博打のように使い損してしまえば、取り返すことは不可能です。年金積立金の運用は従来の構成に戻すべきです。

 

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