詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1053 『崖っ淵の一体改革』

2016/09/12

  安倍政権は消費税率の8%から10%への引き上げを2度延期しました。2019年10月に上げることになっていますが、安倍総理の自民党総裁の任期は2018年9月までであり、誰が責任をもって実行するのでしょうか。任期延長論も浮上していますが、マリオに扮して東京五輪までの続投に強い決意を示した安倍総理なら、3たび延期もあり得るでしょう。


  民主(現・民進)、自民、公明3党は2012年に消費増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」で合意しました。この3党合意の精神は、消費税増税を政争の具にしない、タブー視されていたテーマを与野党が互いに責任をもつということでした。しかし、安倍総理が2014年秋に1回目の延期を決めて衆院を解散し、国民に信を問うた時点で3党合意の崩壊が始まりました。


  今夏の参院選前、安倍総理が再び延期することを見越した上で、民進党は先手を打って延期を表明しました。その結果、与野党ともに次の世代よりも次の選挙を重視する姿勢に後退してしまいました。このように3党合意の精神が風前の灯となりつつある中、民進党代表選挙が行われています。様々なテーマについて論戦が展開されていますが、私が最も注目しているのは財源論です。


  蓮舫、前原、玉木の3候補ともきちんと財源から逃げずに政策を語っています。消費税率2%の引き上げそのものについても、3氏そろって必ず上げるべきだという立場で一致しています。特に前原氏は、「すべての人に負担を求め、すべての人が受益者になる社会を目指す」という立場から、社会保障と税の一体改革の再設計を提起しています。傾聴に値します。


  私が応援している蓮舫候補は、行政刷新相の経験がありますので、身を切る改革に軸足を置いています。水増しで膨らんだ経済対策の事業規模は28.1兆円、来年度予算案の概算要求も大盤振る舞いになりかねない状況です。蓮舫氏は2020年度の基礎的財政収支黒字化を確実に達成し、財政健全化目標を堅持する立場です。ですから、野放図な財政運営に流されつつある政府に対して、行革という視点から警鐘を鳴らしているのでしょう。


  いずれにしても、今回の代表選を契機に、わが国のゆるみきった財政規律を見直し、立て直していきたいものです。


  社会保障と税の一体改革は、与野党の志ある政治家と一群の霞ヶ関チームによる渾身の力を込めた共同作業でした。私は、議員バッジをはずす覚悟で政治生命を賭けました。当時官房長だった香川俊介元財務次官は文字通り命を削りました。その香川さんが天上の人となって1年が経ちました。私のカウンターパートだった谷垣禎一前自民党総裁も、不運な事故により入院加療中です。当時の関係者は皆無念でしょう。


  膨大なエネルギーを要しますが、消費税を政争の具にしない政治を実現するために、私自身も大いに奮起しなければならないと思っています。

 

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