詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1057 『総括的検証』

2016/10/11

  先月末の金融政策決定会合で、日本銀行は「総括的検証」なるものを行い、2年で2%としていた物価安定目標を放棄しました。もはやアベノミクスの第1の矢「異次元の金融緩和」の手詰まりは、誰の目から見ても明らかです。

  金融緩和さえすれば、物価が上がるはず、物価が上がりさえすれば、人びとは早めに物を買うはず、物が売れれば企業は投資するはず、企業がもうかれば賃金は上がり、もっと人びとは物を買うはず。このように安倍政権が描いたシナリオ通りに全く進んでいないのは、まだ金融緩和が足りないからでしょうか。そもそも、第1の矢が間違っていたのではないでしょうか。


  そして、この矢は金融市場に深々と突き刺さり、大きな悪影響をもたらしています。日銀による年間80兆円もの大量の国債引き受けの結果、2018年には日銀の国債保有残高がGDPを上回る見通しです。債券市場の歪みは深刻です。


  日銀が上場投資信託(ETF)を年6兆円も購入し、株価を下支えすることは、株式市場を官製市場と化しています。本来、株価は経済の実勢、今後の先行きを反映する体温計でなければなりません。体温計が適切に機能していなければ、処方箋も適切に出せません。内閣支持率維持のために株価を吊り上げようと、官製相場を演出するような異常なやり方は、いずれ市場の手痛いしっぺ返しを受けることになるでしょう。


  安倍政権は金融政策の行き詰まりから再び第2の矢、財政出動頼みの経済対策路線に戻らざるをえなくなりました。今回の補正予算では、2.75兆円も建設国債を発行して公共事業を濫発することになっています。財政規律は弛み、今年度予算は計100兆円を突破しました。建設国債だからといって償還財源を伴っている訳ではなく、建築物の維持管理費用も掛かることを踏まえれば、赤字国債より良いなどということはありません。借金は借金です。


  失敗続きだった旧式の経済対策に先祖返りしたような補正予算に、賛成する理由は全く見当たりません。したがって、民進党は反対することを決めました。


  安倍政権が誕生してからもう4年近く経とうとしています。しかし、アベノミクスはまだ「道半ば」だそうです。ずいぶんと長い道のりに思えます。自民党総裁の任期を延長して、2020年のオリンピック・パラリンピックまでの道行きを考えているのでしょうか。それとも、道すじを見失い、迷路にはまってしまったのでしょうか。


  私は、日本経済の潜在成長率を上げていくための第3の矢、成長戦略が不発で終わっていることが最大の原因だと思います。


  アベノミクスの「総括的検証」こそ、今やらなければなりません。

 

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