詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1060 『日・米・ロ』

2016/10/31

  北朝鮮は9月9日、5度目となる核実験を行いました。今年だけで2回目です。また、核を搭載するための弾道ミサイルも、短い間隔で次々と発射し続けています。これは、許しがたい暴挙であって、わが国のみならず、東アジアの平和、ひいては国際社会の安全を損なう重大な脅威であり、断じて容認できません。


  本年6月、中国海軍の軍艦が初めて尖閣諸島周辺の接続水域に侵入しました。また、8月上旬には約200隻以上もの中国漁船が接続水域で操業するなか、最大15隻という多数の中国公船が同海域に集結し、中国漁船に続いて領海侵入を繰り返すという事案が発生しました。これらの活動は、わが国に対する重大な挑発行為であり、わが国の主権を保全する観点から決して看過することはできません。


  このように東アジアを巡る安全保障環境が厳しさを増すなか、日本の外交・安保の基軸である日米同盟をより深化していかなければなりません。その日米同盟に悪影響を及ぼしかねないと懸念されるのが、ロシアとの経済協力に前のめり過ぎる安倍総理の姿勢です。というのも、冷戦終了後、現在の米国とロシアの関係は最も険悪となっているからです。


  第1は、ロシアによるウクライナ侵略・クリミアの占拠です。このプーチン大統領の力による現状変更の試みに対して、欧米諸国は経済制裁を継続しています。


  第2は、シリアでの米・ロ停戦合意の崩壊です。合意に違反したのは明らかにロシア側であり、オバマ政権は完全にコケにされました。両国の対立は尖鋭化しています。


  第3は、米国の民主党や選挙機関などに対するロシアのハッキングです。特に、ウィキリークスが流しているクリントン候補に不利な情報は、ロシアの公安当局がその技術とコードを使って探知したものと推定されています。


  このような背景から、クリントン氏が大統領となった場合(その可能性は大)、米国とロシアの関係は更に悪化することが予想されます。現在でも、日本とロシアの関係に神経を尖らせている米国は、クリントン大統領になった場合、どのような反応をすることになるでしょうか。


  米ロの緊張関係が高まりかねないなかで、日ロ関係を経済協力で進めることは、日本が同盟国米国とは違う方向をとることになりかねません。国益上マイナスにならないようにするには、米国の理解が不可欠ですが、日本政府は果たしてその努力を十分にしているのでしょうか。

 

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