詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1064 『安倍・トランプ会談』

2016/11/28

  安倍総理は11月18日、米国ニューヨークでドナルド・トランプ次期大統領と会談しました。日本の総理が就任前の次期米国大統領と会談するのは極めて異例ですが、大統領選勝利後のトランプ氏と、各国首脳に先駆けて会談したことを手放しで評価する傾向が強いように思います。私は、違います。


  まず、現職のオバマ大統領に対して礼を失していないでしょうか。次期大統領の私邸まで押しかけ1時間半も会談する一方、現職大統領とはAPEC会場で数分間の立ち話です。あまりにもバランスを欠いていると言わざるを得ません。オバマ大統領の任期は、まだ約2か月も残っています。この間に、どんな不測の事態が発生するかわかりません。やはり、同盟国のリーダーには敬意を払い続けていなければならないのではないでしょうか。


  トランプ氏の選挙戦は、移民排斥、孤立主義、保護貿易主義に訴えるものでした。日々の生活に潜む人々の不安を煽り、既存の政治家では解決できないと強く批判し、非現実的な政策目標を有権者に約束することで、現状の政治に不満を抱く人々から支持を得ようとしました。同氏は移民を激しく非難し、欧州とアジアの同盟国も酷評しました。このようなトランプ氏の勝利は、国際社会にとっては想定外であり衝撃的でした。


  いま各国は、トランプ氏の進めている骨格人事などを注視しながら、腰を落ち着けてじっくりと評価しようとしています。ドイツのメルケル首相はトランプ氏が当選した直後の声明で、「ドイツと米国は民主主義、自由、法の支配、出身や皮膚の色、信条、性別、性的性向、政治見解に関係のない個人の尊重という価値によって結ばれている。このような価値の基礎の上に、私は次期大統領であるドナルド・トランプ氏に緊密な協力を申し出る。」と述べています。極めて厳しい物言いです。


  このように国際社会が冷静に緊張感をもってトランプ氏の動向を見定めていこうとしている時、わが国の総理だけが慌てて面談をしました。しかも、外務省や米国国務省が関与しない異例の形式で…。多くの人が何をそんなに焦っているのだろうと奇異に思ったのではないでしょうか。


  おまけに会談直後、安倍総理は「信頼できる人物と確信した」とまで言ってしまいました。世界中が不安を抱いている時に、「信頼」という言葉でお墨付きを与えるほど突っ込んだ議論ができたのでしょうか。私には、軽率な発言に思えてなりません。案の定、その数日後、トランプ氏は来年1月20日の大統領就任式でTPP脱退を明らかにすると表明しました。


  一体何を語り、なぜ信頼したのか、衆参の予算委員会を開き、総理にはしっかりと国民に説明してもらいたいと思います。

 

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