詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1066 『カジノミクス』

2016/12/12

  「統合型リゾート施設(IR)整備推進法案」、通称「カジノ法案」の成立を自民党はなぜ急ぐのでしょうか。

  2年前、審議にあたって与野党で合意した事項がありました。①国家公安委員長の常時出席及び官房長官を含めた関係大臣の必要に応じた出席、②参考人招致、③誘致自治体等へ出向いての地方公聴会の開催、④ギャンブル依存症問題にかかわる厚生労働委員会との連合審査の開催、等々でした。これらの約束を全て破って、衆院内閣委では僅か5時間半の審議で採決を強行しました。


 その後も強引な国会運営が続きましたが、与党の公明党ですら法案に対する賛否を決められず、自主投票となりました。「党内議論の時間が十分取れず、極めて例外的な自主投票となり、忸怩たる思いだ」と、山口代表も発言しています。


  今回の異常な強行突破作戦は、官邸の肝いり法案だからでしょう。安倍総理はカジノ参入をめざす民間企業と親密な関係にあるとされ、カジノ議連の元最高顧問です。カジノを「成長戦略の目玉」と位置づけてもいます。また、今国会の会期延長を協議する自公の幹事長・国対委員長会談の場で、菅官房長官が「IR法案もお願いしたい」と、わざわざ頼んだという報道もありました。菅長官の地元・横浜市では、IRの受け皿作りが着々と進んでいるようです。


  議論なき乱暴な国会運営に対し、不安と疑問の声が広がっています。


  ギャンブル依存症にご本人や家族が悩まされた人達で作る「ギャンブル依存症問題を考える会」の皆さんが厚労省で記者会見し、「今回の法案では対策が不十分で、今のままでは反対だ」と言っています。平凡なサラリーマンが、公務員が、主婦が「やめられない」と借金をつくり、家中の物を売ってカネをつくって、それでも続けてしまいます。破産や一家離散、逮捕、はては自殺にまで至る悲劇が山のようにあります。


  読売新聞も社説で書いています。「カジノの合法化は多くの重大な副作用が指摘されている。十分な審議もせずに採決するのは国会の責任放棄だ」「ギャンブルにはまった人や外国人観光客の散財に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にする成長戦略は極めて不健全である」と。


  こうした疑問の声に十分に答える事なく、与野党合意も踏みにじって、安倍・自民党がカジノ解禁へと突き進むのは、アベノミクスが行き詰まっているからではないでしょうか。金融政策も財政政策も限界に達しており、今年度は税収減の見込みから、赤字国債の追加発行を余儀なくされています。国民に見せる花火が無くなってきたから、刑法で禁じている「賭博」を経済対策の目玉にしようとしているのでしょう。


  アベノミクスを「カジノミクス」にすり替えようとしているのではないでしょうか。

 

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