詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1086 『権力の私物化』

2017/05/29

  地域限定で規制緩和を認める「国家戦略特区」という制度があります。岩盤規制に風穴を空けるために、制度自体は有効に活用されるべきでしょう。しかし、それは、あくまで公平・適正な行政手続きに基くことが前提です。


  安倍総理が議長を務める国家戦略特区諮問会議は昨年11月、特区で獣医学部の空白地域に限り新設を認める方針を示しました。そして、今年1月、学校法人「加計(かけ)学園」が運営する岡山理科大の獣医学部を愛媛県今治市につくることが認められました。予定通り来年4月に開学すれば、52年ぶりの獣医学部の新設になります。


  ところが、加計学園の理事長は安倍総理の40年来の友人です。そして、総理夫人の昭恵さんは同学園グループの保育施設で名誉園長に就いており、夫婦共に深い関係がありました。同学園へは評価額37億円もの土地が無償譲渡され、その他にも多額の補助金が投じられています。これまでに流れた金は約440億円にものぼるといわれています。加計問題は「第2の森友」と呼ばれていますが、それ以上に大きく深い疑惑といえましょう。


  5月17日には獣医学部新設が「総理のご意向だと聞いている」「官邸の最高レベルが言っている」などと記載された文書の存在が明らかになり、疑惑はますます深まっていました。菅官房長官は「怪文書」と断定し、松野文科大臣は「該当する文書の存在は確認できなかった」と調査結果を発表しました。


  まさに文書の真贋が焦点になっていましたが、先週、今年1月まで文部科学事務次官を務めていた前川喜平氏がメディアの取材に対して、「文書は間違いなく本物」だと証言しました。そして、「公平公正であるべき行政が歪められた」とまで言い切りました。事務方のトップだった人物の発言は、極めて重いと思います。もはや、出所不明の怪文書などとしらを切ることはできないでしょう。


  国有地を9割引きで売却した森友疑惑は、総理夫妻の意向を財務省等が忖度した可能性が指摘されています。加計の場合は、親友の経営する学校法人の事業を実現したいという総理の意向が強く働き、加計ありきで特区が活用された可能性が出てきました。


  私たちは予算委員会の集中審議を強く要求しています。総理には逃げずに説明責任を果たしてもらわなければなりません。一方、前川前次官は、証人喚問があれば応じる姿勢を示しています。与党は反対していますが、国会での証言を拒む理由などないはずです。


  友達を特別扱いするための特区の活用だったとするならば、権力の私物化です。断じて許されません。

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