詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1147 『不正入試』

2018/09/10

  台風21号は近畿・東海地方を中心に大きな被害をもたらしました。震度7の大地震により北海道でも甚大な被害が出ています。犠牲になられた方のご冥福を祈るとともに、被災者の皆様には心よりお見舞い申し上げます。


  先月、東京医科大学において、文部科学省の子弟など特定の受験生に加点をして、不正に合格させていたことが明らかになりました。私学助成金を確保するための悪質な「裏口入学」です。この1点だけでも言語道断です。


  それに加えて、東京医大は女子受験生の得点を一律減点し、合格者の数を抑えていたことも判明しました。これまた許しがたいことですが、さらにたちが悪いのは、安倍政権が掲げる「女性活躍」を目的とした補助金を、3年間で約8千万円も受け取っていたという事実です。


  同補助金は、女性研究者の研究活動と結婚・出産の両立を支援する目的で交付されています。その補助金を受け取る一方、入試の段階では女性が活躍するチャンスを阻んでいるのですから、国に対する詐欺といえるのではないでしょうか。全額返還させるべきです。


  東京医大の得点操作は氷山の一角ではないかという疑いが広がり、文科省は医学部・医学科を持つ全国81大学の入試に関する緊急調査を行い、その結果を9月4日に発表しました。過去6年間の入試における男女の合格率を比較したものですが、6年連続して男子が女子よりも高合格率でした。長期にわたって合格率が男子優位だった大学も多かったのですが、東京医大を除く全校が得点操作を否定しています。


  とはいえ、他の学部・学科で男女の合格率が同等か女子が多少優位な傾向にあるなか、医学部だけが不自然であることは間違いありません。医療界だけ前近代的な「男尊女卑」の風潮が残っているのでしょうか。


  恐らく、医師不足による医療現場における長時間労働が、女性の出産・子育てとの両立を困難にし、女性医師の離職率を高めていることが背景にあるのでしょう。慢性的な医師不足を解決するため、男子を優先的に入学させる悪循環に陥っているのかもしれません。政府は、調査結果をしっかりと分析し、医療分野における働き方改革、女性の働きやすい医療現場なども含めた改善を検討すべきです。


  驚くべきことに東京医大では、3年以上浪人を繰り返した受験生の点数も減点していました。浪人生の合格を抑制する合理的な理由などあるのでしょうか。理不尽極まりません。


  私の高校時代の柔道部仲間で主将を務めた神馬征峰君は、昼休みには道場の畳の上に寝転び、吉川栄治の「宮本武蔵」や「親鸞」を読みふけるような求道者みたいな男でした。彼は3浪して浜松医大に合格しました。母子家庭だったので苦労したはずです。その後、ハーバード大学院に学び、紛争地域や途上国の現場も経験し、現在は公衆衛生等を専門とする東京大学大学院教授です。


  複数年浪人する若者の中には、スロースターターの大器晩成型もいるでしょう。東京医大は国を欺いたのみならず、不透明な選抜により浪人生や女子を欺きました。彼(女)らの夢を摘み取り、志を挫きました。万死に値する大罪です。


  

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