詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1170 『思いつきと思い込み』

2019/03/11

  平成元年1月8日、様々な曲折を経ながら、竹下内閣の下で消費税3%が導入され実施されました。その後、8%まで上げるまでに約30年かかりました。平成の政治は消費税のために政権が倒れたり揺らいだりする呪縛との戦いでした。消費税が政争の具になり、与野党が同じ土俵で議論できないためです。


   私は、社会保障と税の一体改革を通じて、与野党がお互いに責任を持ち合うことにより、その呪縛を断ち切ろうとしました。


   安倍総理は、何のために負担が必要かを正面から堂々と説明することを避け、消費税の引き上げを過剰なバラマキでごまかそうとしています。これまた呪縛にとらわれているからでしょう。


   3月1日、衆院財務金融委員会において私は、「バラマキ付増税は、社会保障の充実や財政健全化のための増税ならやむを得ないと思っていた人たちを裏切ることにならないか」と、安倍総理に質しました。


   総理は、「(8から10に)2%引き上げるうえにおいては、(5から8に)3%引き上げた際に反動減もあった。そして、残念ながら景気は回復をそう簡単にはしなかった。この対策に万全を期していくことは当然のことであろう」と、答弁しました。


   駆け込み需要と反動減を平準化するための必要な対策はあってしかるべきです。しかし、消費税引き上げによる増収よりも、その対策費が約3千億円も多いというのは明らかにバラマキです。よく精査もされずに盛り込まれた施策ばかりです。その代表例が、キャッシュレス決済推進のためのポイント還元策です。


   麻生財務大臣がこのアイデアを初めて聞いたのは、予算編成の大詰めの12月7日だったそうです。そんな思いつきの愚策に2,798億円も予算がついたなんて信じられません。私は単刀直入に、「ポイント還元策は撤回すべきではないか」と、総理に迫りました。


   総理は、「消費税の引き上げ後、大企業は自己負担でセールなどを実施できるのに対し、中小・小規模事業者が競争上不利になるので、中小に限定した上で大胆なポイント還元を実施することとした」と、答えました。要は、1つの施策に、消費需要の平準化やキャッシュレス決済や中小企業対策などの政策目的が混在し、わけのわからない愚策になってしまったのです。


   思いつきの政策も問題ですが、思い込みの弊害もあります。総理はかつて国会で、「デフレは貨幣的な現象である」と、学者のようなことを明快に答弁したことがあります。その思い込みから始まった異次元の金融緩和は、異次元の副作用をもたらすでしょう。


   私は、「近い将来に想像のできないような大きなリスクが口をあけて待っている。軌道修正しなければ、後世において、安倍政権は悪夢の政権と言われかねない」と、指摘しました。が、「デフレは貨幣的な現象であり、金融政策が大きな手段であるという考えに変わりはない」と、総理は自説を曲げませんでした。


  

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