詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1171 『経常収支』

2019/03/18

  1月の景気動向指数が前月から低下しました。低下は3か月連続となり、基調判断も「足踏み」から「下方への局面変化」へと引き下げられました。ごく最近まで安倍政権は、景気回復の長さについて「戦後最長になった」と、得意満面でした。しかし、その実感を多くの国民が感じられないでいましたが、ついに国内景気が後退局面に入った可能性が浮上してきました。


   日本経済のみならず世界経済に悪影響を及ぼしているのが、米中間における深刻な貿易摩擦問題です。世界第1位と第2位の経済大国間の争いは世界経済全体の減速を惹起しつつあります。


   特に、米国は自国の「貿易赤字」にのみ着目し、しかも「2国間の貿易問題」として解決しようとしていますが、私はアプローチの仕方が間違っていると思います。同様の姿勢で日米通商交渉が行われるとしたら、相当に厳しい交渉になることを覚悟しなければなりません。


   貿易戦争が世界経済の大きなリスクとなる中で、主要な先進国と新興国で構成されるG20が、「経常収支の不均衡」を多国間の問題として取り上げることになりました。私は、この動きに注目しています。


   実は、G20で経常収支がテーマになるのは、9年ぶりです。韓国の慶州で開かれた2010年秋のG20会議で、中国の巨額の経常収支黒字に強い不満があった米国が、議長国の韓国と共同で世界の経常収支のGDP比を2015年までに4%以下とすることを、会合初日に提案してきました。


   当時財務大臣だった私は、経常収支は民間も含めた様々な主体による経済活動の結果であり、必ずしも政府がコントロールできるものではないので、厳格な数値目標を設定することに反対しました。結局、ドイツや一部の新興国の反対もあり、数値目標の導入は見送られました。こうした経緯を思い返しながら、今年のG20では、次のようなことを念頭に議長国である日本は議論を主導すべきだと思います。


   第1に、経常収支の不均衡は2国間の貿易問題ではなく、多国間の経済政策協調の問題であること。第2に、経常収支は、貿易収支のみでなく所得収支(日本の場合、日本企業の海外子会社からの配当等の割合が、経常黒字の9割に達している)やサービス収支など全ての項目について議論されるべきこと。第3に、各国の貯蓄・投資バランス(米国は極端に貯蓄不足)と経常収支の関係にも着目すること。


   保護主義の姿勢を強める米国対その他の国々といった、G20を1対19の構図にすることは禁物です。経済学のゼミナールみたいになるかもしれませんが、米国も含めてマルチの場で冷静な議論を深めることに意義があると思います。


  

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