詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1221 『ゼロ金利』

2020/04/30

  国民1人あたり10万円の現金給付をするために組み替えた補正予算の財源は全て国債発行ですから、今年度の国債の新規発行額は当初予算段階の32.6兆円から、過去最大規模の58.2兆円に膨らみました。一般的には新たに借金をすることになったら、金利は上昇する傾向にあります。現に新型コロナ対策で財政が急拡大したイタリアでは、国債の利回りが上昇圧力を強めています。


  ところが、日本の場合は長期金利が0%程度にとどまっています。日銀の金利操作によるものでしょうが、生体反応が全くないマーケットに私は不気味さを感じます。そこで、4月28日に開催された衆院財金委において、今の金利の状況に対する麻生財務大臣の感想を尋ねました。


  「我々が学校で習った経済学は何の役にも立ちません。今つくづくそう思っています。金利に加えて円も、鉄板のように動きません。正直理解しがたいところではありますが、こんなものがずっと続くことを永久に期待するのは間違いだ、それだけは心に戒めてやっていかねばならぬところだと思っています」と、率直な麻生節の答弁でした。


  今年度の税収見通しは、当初予算段階で63.5兆円でした。しかし、緊急経済対策として納税を猶予することになりましたので、その分税収は落ち込みます。景気が悪化しているわけですから、法人税や所得税も見込み通りに入ってきません。それを穴埋めするために新たに借金しなければならないし、第2次補正予算も必要になってくるでしょう。


  税収の下振れと更なる財政出動が予想されるので、国債発行が税収を上回る事態に陥るでしょう。敗戦後やリーマン・ショック直後の日本財政と同じ危機に直面することになります。これだけの大量の国債発行を可能にしているのは、日本銀行が打ち出の小槌になっているからです。


  4月27日、日銀は金融政策決定会合を開き、長期国債の購入額について「年間80兆円をめど」を撤廃することを決めました。その決定文では国債購入増の理由として、「政府の緊急経済対策で国債発行が増加する影響」と明記しています。日銀の財政ファイナンス(政府の借金返済を手助けすること)は禁じ手ですが、それを認めたと同じです。


  日銀がコントロールする国債市場は、財政に対する警告機能を完全に失ってしまいました。リーマン・ショックの後に欧州債務危機が発生したように、コロナ後の最大の危機はやはり財政でしょう。警告を発すべき市場が死んだも同然なら、政治が財政規律を取り戻さなければなりません。


  かつて高橋是清蔵相は、思い切った借金と財政出動で世界大恐慌の危機を克服しました。その後財政立て直しのため、軍事費も削ろうとして暗殺されました。今回のコロナ危機も思い切った財政出動が必要です。でも、その後は麻生大臣にも高橋のように、命がけで財政再建の道筋をつくってもらわなければなりません。そこで、まずは地に足のついた財政健全化計画をつくること、そのための手段として、独立財政機関や財政健全化責任法をつくることなどを提案しました。


  「我々は景気を回復すると同時に財政もきちんとやるという、両方をもう一回やり直さないといかぬという覚悟だけは持っておかねばならぬと思っております」と、抽象的に覚悟を示す答弁で終わりました。


  

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