詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1228 『WHO改革』

2020/06/22

  台湾はWHO(世界保健機関)から排除されていますが、昨年末に新型コロナウイルスの人から人への感染リスクをWHOに警告しました。しかし、中国寄りのWHOはその情報を加盟国と共有しませんでした。この過ちのためにパンデミックに対する初動が遅れ、多くの人命の損失を招きました。


  また、WHOは中国による感染拡大の初期の隠蔽を批判せず、むしろその初期対応を評価しました。中国政府の意向を受け緊急事態宣言を1月30日まで行いませんでした。中国からの入国制限措置も、中国の主張を受けて過剰な措置だと批判しました。


  これらトランプ大統領が主張していることは、全て紛れもない事実です。テドロス事務局長をはじめとするWHOは、まるで中国の傀儡のようです。従って、世界の保健や公衆衛生を司るWHOの改革は急務です。


  しかし、トランプ大統領がWHOとの関係を断絶し、資金拠出の停止にまで踏み切りましたが、私には理解できません。米国からの約480億円もの拠出金を断てば、WHOにとっては大きな打撃です。第2派、第3派が予想される新型コロナ対策はもちろん、世界のワクチン計画、ポリオ撲滅、エボラ熱対策の実施などに深刻な影響を及ぼすでしょう。世界の保健危機につながりかねません。


  一方、コロナウイルスの発生源である中国は、抜け目なく厚顔です。積極的に医療支援外交を展開しています。その対象国は、世界120か国です。米国の裏庭ともいえる中南米諸国も含まれています。医療基盤が脆弱であったり、医療崩壊の危機にある国々にとっては、歓迎すべき支援でしょう。


  世界の保健衛生という分野において、米国は影響力を失い、中国の存在感が増すという皮肉な結果が生まれています。11月の大統領選のために、中国批判で支持を集めようという狙いでしょうが、米国にとっても世界にとってもマイナスでしかない稚拙なトランプ外交だと思います。感染者数が世界一になってしまった失敗を、中国責任論に転嫁したいのでしょうが…。


  国際機関の枢要なポストを戦略的に射止め続ける中国、国際機関での影響力をあまり重視しなくなった米国。彼我の差が歴然としてきたことを深く憂慮せざるをえません。


  米国は日本や欧州などと連帯して、世界で最も見事にコロナ禍に対応した台湾のWHOへのオブザーバー参加を実現したり、WHOをはじめとする国際機関の改革に果断に挑むべきです。そして、様々なグローバルな課題を解決するためにも、国力に相応した働きをすべきです。同盟国であるわが国は、そのことをしっかりと米国に伝えなければなりません。


  

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