詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1250 『ワニの口 外れる』

2020/12/21

  ガースーは気が緩んでいるのではないでしょうか。国民に5人以上の会食自粛を求めていながら、Go To停止を表明した夜に本人は大人数でステーキ会食。トップのこの体たらくは、新型コロナウイルスの感染拡大に向けた「勝負の3週間」の敗因の1つでしょう。


  菅政権は15日、追加経済対策の裏付けとなる2020年度第3次補正予算案を閣議決定しました。一般会計総額は19.2兆円。財政規律が緩んだ大型補正予算です。


  医療提供体制の確保と医療機関等への支援、検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備など、感染拡大防止策には約4.4兆円が計上されています。ここでまず最初の疑問が湧きます。感染拡大の第2波、第3波の到来は織り込み済みだったはずです。だから、あらかじめ使い道を定めずに政府の責任で機動的に使える予備費を、極めて異例ながら計11.5兆円も積んでいました。まだ7兆円近く残っているはずですが…。


  次なる疑問は、菅総理肝いりのデジタル改革・グリーン社会を実現するための約2.8兆円。政策的方向性は理解できますが、補正で急いで対応する必要はなく、来年度予算に計上すれば良いのでは…。


  更なる疑問は、防災・減災、国土強靭化の約3.1兆円。そして、年末から全国一斉に一時停止となる「Go Toトラベル」の約1兆円の予算計上です。これらは総理というよりも二階幹事長の政治銘柄かもしれませんが、実力者への気兼ねが規模を膨らませているのではないでしょうか。


  これらの疑問については、来年1月半ばから始まる通常国会冒頭でしっかり質していかなければなりません。


  今年度一般会計の歳出は当初102.6兆円でしたが、コロナ禍により3次にわたり大型補正予算を組み、歳出総額は175.7兆円まで拡大しました。一方、今年度税収は当初63.5兆円を見込んでいましたが、企業の業績悪化や個人消費の冷え込みにより法人税や消費税が約8.4兆円も減収となる見通しです。その結果、税収は55.1兆円に落ち込み、国の新たな借金となる新規国債発行額は年間で空前規模の112.6兆円に激増します。


  近年で日本財政が最も健全だったのは1990年でした。歳出は約70兆円、税収は約60兆円。その差の約10兆円が借金でした。その後、歳出は2000年に約80兆円、2010年に約90兆円と右肩上がりで伸び続けます。税収は00年に約50兆円、10年に約40兆円へと逆に右肩下がり。


  歳出と税収の推移をグラフ化して歳出(上あご)と税収(下あご)のギャップは「ワニの口」のように広がっていると、財務大臣時代によく警鐘を鳴らしました。そして、総理の時に社会保障と税の一体改革を進め、ワニの口を少し閉じようとしました。しかし、2020年についにワニのあごは外れました。来年はこの異常に立ち向かっていく決意です。


  

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