詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1264 『菅・バイデン会談』

2021/04/05

  故中曽根康弘元総理から、「外交は国のトップの仕事です。外務大臣はアシスタントです」と、薫陶を受けたことがあります。さらに大勲位は首脳会談について、「30分も話せばお互いのことがよくわかるので、しっかり準備して臨むように」と、付け加えられました。まさにご教示のとおりでした。


  バラク・オバマ米国大統領とは国際場裡で8回ご一緒し、5回首脳会談を行いました。実務を重視する人でしたが、私とはウマが合いました。前の前の政権の時に冷え込んでしまった日米同盟を、立て直すことができたと自負しています。


  一筋縄ではいかない人物だと思ったのは、ロシアのプーチン大統領でした。安倍前総理が30回近くも会談し個人的信頼関係を誇っていましたが、私は眉に唾をつけたほうがいいと思っていました。中国の胡錦濤主席は能面のように無表情でした。13億人の大国のトップの緊張と疲労が表れていました。


  さて、菅義偉総理は4月中旬、バイデン米大統領と対面で初の首脳会談を行う予定です。バイデン新大統領も初めて外国首脳と面会する形で行う会談ですので、世界中が注目する重要な会談です。外交手腕については全く未知数の菅総理は、万全の準備が整い訪米するのでしょうか。


  「米国第一」(アメリカ・ファースト)を振りかざしたトランプ外交は、「米国の孤立」(アメリカ・アローン)に陥りましたが、バイデン外交はその修正を試みています。WHO(世界保健機構)やパリ協定(気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定)に復帰するなど、滑り出しは順調に見えます。


  それ以上に、バイデン政権が同盟国との連携を重視し、それを背景に中国と向き合おうとしていることは、日本にとって心強い限りであり歓迎すべきです。中国海警船が尖閣沖領海に連日侵入していますが、国際法に違反する中国海警法への懸念を日米が共に表明し、日米安保条約が尖閣に適用されることを首脳会談でも再確認すべきです。


  東シナ海や南シナ海における中国の力による現状変更路線については、日米が共同で国際社会にも警鐘を鳴らす必要があります。6月のG7サミットは英国が議長国ですので、中国問題も議題とするよう両国で働きかけたらどうでしょう。


  バイデン政権の対中政策は、人権問題も重視しています。中国の香港民主化運動への弾圧、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、チベットなどの人権侵害については、日本もより覚悟をもって対応すべきでしょう。


  総じてバイデン外交は、日本外交と波長が合っているのではないかと思います。是非、首脳会談では大きな方向性を共有してほしいと思います。コロナ対策についても意見交換すると思いますが、アジア系住民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)にはしっかりとした対策を要請すべきです。


  日米首脳会談の成功を期待しています。なぜか、子どもの初めてのおつかいのような不安がいっぱいですが…。

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