詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1269 『離島消失』

2021/05/17

  10年超前、長崎県対馬市の海上自衛隊基地に隣接した土地を、韓国資本がリゾート開発目的で取得しました。その後も、北海道千歳市の航空自衛隊基地を見渡せる場所に中国人向け別荘地が造成されるなど、安全保障上懸念がある土地取得が続きました。


  このような懸念を払拭するため、自衛隊施設、米軍基地、原子力発電所などの重要施設周辺等の土地利用を国が調査・規制する「重要土地利用規制法案」の審議に入りました。残念ながら政府案には不明瞭な点も多いので、真に安全保障上の懸念を払拭できるよう、国会において十分議論を尽くすべきだと思います。


  この法案には外国資本からの買収などに備えて、「国境離島」内の土地売買の規制強化も含まれています。国境離島とは、海岸線から12海里(約22キロ)の範囲内の海域である「領海」や、海岸線から200海里(約370キロ)までの海域である「排他的経済水域」(EEZ)の基点となる島々です。


  わが国は大小6,852もの島々から成る島国です。その中でも主権が及ぶ領海や漁業権や天然資源の掘削などの優先的権利が認められている排他的経済水域の基点となる、全国に484ある国境離島は特に重要です。日本の陸地の国土面積は約38万平方キロで世界第60位の大きさですが、国境離島から始まる日本の海域は約447万平方キロと領土の約12倍の広さとなり、なんと世界第6位になるからです。


  この広大な海域の中心となっている島の1つに、日本の最南端の島である沖ノ鳥島があります。サンゴ礁の上に満潮時には高さ、幅とも数メートル程度の2つの小島が海面上に顔を出すだけの小島です。しかし、同島があるおかげで、日本の国土面積よりも大きい約43万平方キロもの大きさの排他的経済水域の円ができあがるのです。


  沖ノ鳥島が自然風化や波の浸食により、満潮時に海面下に隠れてしまわないよう、私は財務副大臣の時に島を保護するための予算を付けました。島の周りに消波ブロックを置いたり、島をコンクリートで固めるなど約7億円の予算でした。島の水没・消滅を回避するための小さくてもキラリと光る予算措置だったと自負しています。


  ところが、安倍前政権及び菅現政権の下では、大切な国境離島が消失しているかもしれません。有人・無人を合わせ全国で484ある国境離島のうち、昨年末時点で8島の存在が確認できていません。特に、北海道近くの「エサンベ鼻北小島」「節婦(せっぷ)南小島」「汐首(しおくび)岬南小島」は、すでに波や流氷の浸食で消失している模様です。


  政府がボーっとしている間に、日本の権利が及ぶ海域が狭くなるとは…。国境離島内の外貨による土地取得への警戒も必要ですが、それ以上にわが国自らが480超の国境離島を緊張感をもって管理することこそ重要です。


  

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