詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1275 『選択的夫婦別姓』

2021/07/05

  夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定について、最高裁は合憲と判断しました。そして、制度のあり方は「国会で論じられ、判断されるべきだ」と指摘しました。2015年と同様の判決です。要は、司法は結論を出すことから逃げ、国会にげたを預けたということでしょう。


  私はかねてより、希望すれば夫婦が別の姓を選択することができる「選択的夫婦別姓制度」に賛成する立場でした。2002年に若手統一候補として民主党代表選に挑んだ時も、公約の一つに掲げました。しかし、2011年に総理に就任した際は東日本大震災からの復旧復興などに追われ、夫婦別姓を能動的に推進する余裕がありませんでした。


  国連の女性差別撤廃委員会は、わが国に対し、繰り返し選択的夫婦別姓制度を導入するよう求めています。しかし、政府は重い腰を上げようとしません。自民党内に慎重な意見が多いからです。


  その代表的な意見は、「夫婦が同じ姓だからこそ家族の一体感が保てる」です。ナンセンスとしか言いようがありません。私は、同姓か別姓かと家族の一体感は関係ないと思っています。姓が同じでも、バラバラな家族だってあります。


  夫婦が同姓を名乗るよう法律で義務づけている国が日本以外にあるのかどうか、寡聞にして知りません。が、海外では同姓でも別姓でも選べるようにすることが趨勢のようです。別姓が認められているから、家族の絆が壊れたとも聞きません。


  夫婦が同姓でなければ家族の一体感が保てないというカップルであれば、同姓を選べば良いと思います。しかし、別姓を強く望むカップルがいれば、その願いが拒否されるべきではないでしょう。特定の価値観を押し付ける国家であってはならないと思います。だから、姓については個人や家族が自由に選択できるようにすべきです。


  稀少姓(レア名字)の家で育った一人娘が佐藤さんや鈴木さんに嫁ぎ、稀少姓が消滅することもありえます。歴史や伝統を重んじる立場からも、夫婦別姓の効用はあるのではないでしょうか。


  私と同姓の野田聖子・自民党幹事長代行には、選択的夫婦別姓に賛成の立場で同党内の世論を変えてほしいと期待していました。しかし、今年2月、別姓選択の導入に反対する署名をしていた丸川珠代議員が、男女共同参画担当大臣に任命されました。この人事により、菅内閣には夫婦別姓を実現する気が全くないことがわかりました。


  国が国民に対して、姓も含めて特定の家族の形態を押し付けるべきではありません。家族を守ること、家族を大切にすること、家族の一体性や絆、いずれもとても重要なことです。でも、それらをどのように実現するかは、国民の自由な選択に委ねるべきです。


  

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