詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1286 『ごまめの歯ぎしり』

2021/09/13

  菅総理の辞意表明は9月3日でした。自民党の新総裁が決まるのは9月29日ですから、国会で首班指名選挙が行われるのは来月初めになるでしょう。すなわち、死に体内閣による政治空白が約1か月も続くということです。


  新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向に転じつつありますが、重症者や死亡者は依然として多く、緊急事態宣言を解除できる状況ではありません。冬場に向けて感染が再拡大する可能性もあり、引き続き緊張感を持って医療体制の強化等に努めるべきです。コロナ対策において不手際ばかりが目立った政権がレームダック化し、国民の命と健康を守れるのでしょうか。


  タリバンが首都カブールを制圧した時、なぜ日本大使は不在だったのか、日本人大使館員12人だけがなぜ国外退避したのか、判然としません。そして、自衛隊機3機を派遣しながら、退避できたのは邦人1名とアフガン人14名だけ。出国を希望する日本関係機関で働いていた現地スタッフなど約500名が置き去りにされたままです。


  欧州各国も韓国もインドネシアも、退避をほぼ成功させました。なぜ日本だけが失態を演じたのでしょうか。自衛隊法84条の4「在外邦人等の輸送」は「安全な実施」を条件としているので、その確認に手間どったという言い訳を聞きます。かつて自衛隊のイラク派遣について、「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」だと言い切った総理もいましたが…。


  憲法や野党に責任転嫁する声すらありますが、政府の大失態の原因は初動の遅れとお粗末なオペレーションに尽きると思います。総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣の責任は極めて重大です。置き去りにされた約500名の救出問題は現在進行形ですが、失態を演じた菅政権が死に体に陥って失地回復できるとは思えません。


  コロナ禍やアフガン騒乱から命を守るためには、事実上の政治空白は避けなければなりません。にもかかわらず、自民党総裁選挙を前倒ししようとか短縮しようという動きが全くありません。命を守るという最も重大な責務をないがしろにして、「選挙の顔」選びに狂奔する姿に暗然たる思いがします。


  しかも、衆議院議員の任期は10月21日までですが、衆院選は11月になる公算が大きくなってきました。憲法第45条は「衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する」と、定めています。任期満了後に選挙が行われたケースは過去になく、憲政の常道を破ることになります。


  「衆参両院のいずれかで総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会を召集しなければならない」と定める憲法第53条も、安倍・菅政権の下で黙殺されてきました。自民党の組織そのものが独善に陥っています。


  河野太郎さんのメルマガは「ごまめの歯ぎしり」だそうです。その名を今号「かわら版」のタイトルに使わせていただきました。メディアジャックした感のある総裁選を苦々しく見る思いを込めて。


  

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