詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1329 『金融と財政の一体改革』

2022/09/12

  外国為替市場の円相場は約24年ぶりの円安水準になりました。年明けは対ドルで115円近辺でしたが、いまは140円台半ばまで円安が進行しました。インフレ退治に躍起となっている欧米と金融緩和を漫然と継続する日本、この金融政策の違いが鮮明になってきたことが円安の加速要因だと思います。


  8月下旬に開催された米国の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が講演をしました。講演時間は30分間用意されていましたが、パウエル議長の講演はわずか8分間でした。しかし、その短い講演の中に、景気が失速するリスクを冒してでもインフレを抑制する強い意志が示されました。「やり遂げるまでやり続けなければならない」と、きっぱりと明言しました。


  米国の中央銀行であるFRBは、3月以降利上げを続けています。9月も前回7月と同様に0.75%と大幅な利上げになるでしょう。欧州中央銀行(ECB)も7月に政策金利を0.5%引き上げ、利上げに着手しました。9月には0.75%と大幅に利上げしました。パウエル議長は利上げが足りなくてインフレが収まらない場合と、利上げが強すぎて景気を過度に悪化させる場合では、前者が「より大きな痛みを伴う」と発言しています。これが欧米の中央銀行関係者の共通認識なのでしょう。


  世界各国がインフレ退治にかじを切る中、「ミスター円安」黒田総裁が率いる日本銀行は、10年前から始まった異次元緩和をまだ続けています。世界に類を見ない存在として注目されるようになってしまいました。


  2013年1月に発出された政府・日本銀行の共同声明の中で、「日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」と明記されています。以降、日本銀行は2%の物価目標の下で、金融緩和を推進してきました。


  実は、日本の消費者物価指数の上昇率は、7月まで4か月連続で目標の2%を超えています。しかし、黒田総裁は「物価目標の持続的、安定的な実現には至っていない」と、繰り返しています。「持続的」「安定的」などは言い訳に過ぎず、要は金融緩和からの脱出が困難となり、動くに動けない金縛りに陥っているからです。


  日銀の貸借対照表(バランスシート)を大幅に圧縮しなければ、利上げの実現は不可能です。日銀の財務内容が悪化し、債務超過にもなりかねません。日銀による国債の大量購入を減らせば、国債の消化が難しくなり国家財政に重大な影響を与えます。


  私は10年前、「社会保障と税の一体改革」に挑みました。今は金融政策を正常化し日銀による財政ファイナンスを改めるとともに、財政健全化の道筋をつける「金融と財政の一体改革」が重要だと考えています。難路ですが挑む覚悟です。


  

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