詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1344 『2%ありきの陥穽』

2023/01/04

  新年明けましておめでとうございます。


  ちょうど10年前の2013年1月、政府と日本銀行はアコード(共同声明)を結びました。「物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%」として、「できるだけ早期に実現することを目指す」と明記しています。


  同年4月、黒田東彦日銀総裁が「2年で2%の物価上昇率を実現する」と高らかに宣言し、異次元の金融緩和を始めました。2年間では成果は出せませんでしたが、その後も物価上昇率2%の実現を最優先して、大規模緩和を硬直的に続けてきました。


  その結果、銀行収益の圧迫や市場機能の低下、財政規律の弛緩、急激な円安など異次元の副作用をもたらしました。世界中がインフレの進行を受け金利を引き上げても、日銀だけは金利を抑え込んできました。


  しかし、その柔軟性に欠ける頑なな姿勢を改め、ついに昨年末、日銀も事実上の利上げに踏み切りました。金融緩和の修正自体はむしろ遅きに失した感がありますが、今回の不意打ちのような手法は禍根を残すと思います。市場との対話をもっと丁寧にやらないと、今年のマーケットは波乱含みになりかねません。


  そもそも2%という物価目標は妥当だったのでしょうか。2%を超えれば全てうまくいくわけではありませんでした。最近は数か月連続して2%を超えましたが、物価は上がっても賃金は上がっていないため、国民生活はより苦しくなっています。


  大胆な金融緩和でデフレから脱却するという壮大な実験を厳しく総括し、金融政策の正常化を慎重かつ丁寧に推進できる人物が、次の日銀総裁になるべきです。黒田総裁の任期は4月で切れます。知恵と胆力と対話力を要する至難の仕事を誰が引き受けてくれるでしょうか。今春までに岸田総理が選ばなければなりません。


  同じく「2」という数字ありきで、極めて唐突な動きになってしまったのが、防衛費の大幅増額問題です。まず、5年後に防衛関連予算を国内総生産(GDP)比2%に倍増する方針が固まりました。そして、政府は今後5年間で防衛費を43兆円に増やす計画を決定しました。


  金目の規模だけが先に決まりました。「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」のいわゆる安保3文書が閣議決定されたのは、昨年12月16日でした。その中身が固まる前に、明らかに規模の議論が先行していました。すなわち、43兆円は精緻に積み上げた数字ではありません。


  厳しさを増す安保環境を踏まえ、防衛装備の充実等は不可避であり、私も防衛費増額は必要だと思います。しかし、規模だけ根拠なく膨らませ、その財源を復興税やたばこ税に求めたり、安直に国債に頼る粗っぽい手法は理解できません。


  しかも、今年は日本がG7の議長国なのに、外交戦略は全く語られていません。台湾、尖閣、北朝鮮などを議題として、欧米諸国を東アジア安保に関与させることは十分可能なはずですが…。


  

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