詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1359 『国境離島の管理』

2023/05/15

  国連海洋法条約は島の定義を「自然にできた陸地で、水に囲まれ満潮時でも水面上にあるもの」としています。わが国の島の数は、海上保安庁が1987年に公表した6852島とされてきました。


  ところが、政府が35年ぶりに数え直してみた結果、その数が1万4125島に。地図の電子化に伴い調査精度が大幅に向上し、詳細に把握できるようになったからだそうです。それにしても倍以上も増えるとは…。


  逆に、沿岸から12カイリ(約22キロ)の領海や200カイリ(約370キロ)の排他的経済水域(EEZ)の基点となる「国境離島」は減ってしまいました。今までは国が保全・管理する国境離島は484島とされていましたが、調査・確認した結果、473島に改められました。


  島の数を正確に把握するとともに、領海(主権の及ぶ海域)や排他的経済水域(天然資源の開発権が認められる海域)の基点となる国境離島の維持管理は、島国日本の国益に関わる重要な行政です。


  そのため民主党政権下の2010年、内閣府に国境離島の把握を担当するための事務局を設置しました。名なしの権兵衛だった島に名前をつけたり、離島の管理をしっかりするようにするためです。尖閣の4つの小島に正式に名前をつけたのは、2012年3月野田政権の時でした。


  ところが、その後しっかり管理していたのかと思っていましたが、国境離島を11島も減らしてしまうとは…。私が財務副大臣の時は、満潮時に水没しかけていた日本の最南端の沖ノ鳥島の保全に予算をつけ、日本の国土面積に匹敵する排他的経済水域の確保に努めました。それ以降の自公政権は「ぼーっと」してたとしか思えません。チコちゃんに叱られそうです。


  日本の国土面積は約38万平方キロ。世界で61番目の広さです。陸地面積では小さな国ですが、国境離島を基点とした領海を含む排他的経済水域は約447万平方キロ。世界第6位に躍り出ます。冠たる海洋国家です。


  海は平面でなく立体です。日本の近海は深いので、日本の管理できる海の体積は世界で4番目です。最東端の南鳥島の海底には二百数十年分のレアアースがあるといわれています。日本の近海は、お宝の山ではなくお宝の海なのです。


  だから、11島も国境離島を減らすなどということは、大きく国益を損ねたと断ぜざるをえません。海洋管理体制の不徹底は、領土・領海を巡る日本の主張の正当性を揺るがしかねません。


  5月9日、防衛費増額の財源を審議する衆院財金委で、以上のことを冒頭に取り上げました。外敵から領域を守る以前に、緊張感のなさから自ら領域を消失している現状に警鐘を鳴らすために。問題意識は与野党で共有できたと思います。

 

活動報告一覧へ戻る
HOMEへ戻るpagetop