詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1367 『自衛隊と海保の連携強化』

2023/07/10

  2012年5月、尖閣諸島などを守る第11管区海上保安本部を視察しました。海の守り神たちの誇り高き姿とともに、沖縄の青い海に浮かぶ真っ白な巡視船が目に焼き付いています。


  同年10月、自衛隊の最高指揮官(内閣総理大臣)として、海上自衛隊の艦艇を観閲する「観艦式」を執行しました。この時は護衛艦などの灰色の船団が相模湾を疾駆しました。


  海上保安庁の船は白色です。警備・救難活動をする際に識別されやすいからです。海上自衛隊の船は灰色。敵から見つかりにくいように、日本周辺海域の海水の色に合わせたからだそうです。


  海上自衛隊も海上保安庁も日本の海を守ることを使命とする組織です。一方で、各々の艦船の色が異なるように、海自と海保の担うべき役割も異なっていました。しかし、安保環境が近年厳しくなりつつある中で、両者の連携・強化が求められていました。


  そして、本年4月末、有事の際に防衛大臣が海上保安庁を統制下に置く手順などを定めた「統制要領」がついに策定されました。元々自衛隊法80条では、防衛相が海保を統制下に入れることができる規定はありました。一方で、海保法25条は海保の軍事機能を否定しているため、具体的な要領づくりは約70年も封印されていました。


  ようやく両法の規定の整合性を図る要領がつくられました。具体的には、武力攻撃事態において、防衛省・自衛隊が迅速に任務遂行にあたる一方で、海上保安庁が人命救助や住民避難で最大限役割を果たしていくこととされています。


  5月9日の衆院財金委における防衛財源確保法の審議の際、私は自衛隊と海保の連携強化を訴え、統制要領については一定の評価をしました。そして、共同訓練を積み上げて、課題を洗い出していくように提案しました。


  例示として現場における燃料の相互補給を取り上げました。海上自衛隊の船舶が燃料に使用している軽油は、海上保安庁の船舶が使用している軽油と引火点が異なっています(火災等に対する安全性は海自の方がより高く保たれている)。このため、軽油を使用する海保船舶が海自の軽油を使って航行することは可能ですが、その逆は安全性の観点から行われていません。


  なお、船舶燃料は海自は軽油ですが、海保は一部を除き重油ですので、全く互換性がありません。


  自衛隊と海保のリアルタイムの情報共有についても提案しました。昨年10月から海上保安庁が大型無人航空機「シーガーディアン」の運用を開始しましたが、24時間以上飛び続けて収集する情報を自衛隊も即時共有するべきです。


  防衛省と海上保安庁は、5月に共同机上訓練を実施しました。6月には実動訓練を行いました。訓練の積み重ねから、連携の強化を期待したいと思います。

 

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