詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1377 『インボイスの開始』

2023/09/25

  今年は多くの地域で敬老祝賀会が復活しました。私も久し振りに参加しましたが、改めて超高齢社会の到来を肌で感じました。


  杜甫は「人生七十年古来稀(まれ)なり」という詩句を残しています。中国の唐代では70歳は珍しいほどの長生きだったのでしょう。これが「古稀」という長寿祝いの由来です。団塊の世代がまもなく後期高齢者になる日本では、70歳は「古来稀なり」ではなく「近年ザラなり」です。


  「近ザラ」の時代は、70歳になっても敬老行事に呼ばれません。行事の対象年齢は75歳から77歳へと引き上げられつつあります。総人口の10人に1人が80歳以上になりましたので、80歳を迎える「傘寿(さんじゅ)」から祝賀会に招かれるようになるでしょう。


  百歳以上もいまや9万2千人超です。百歳ですら「稀」(まれ)ではなくなりました。日本人の最高齢は116歳の女性です。近いうちに前人未到の「大還暦」(120歳)を祝う時代も来るでしょう。


  長生きできることは良いことですが、老後には医療・年金・介護が不可欠となります。それら高齢者3経費に子育て支援を加えた社会保障の財源は消費税です。その消費税の納税手続きが大きく変わろうとしています。


  10月1日から「インボイス」制度がスタートします。カタカナ用語でわかりにくいのですが、要は取引先に正確な消費税率や税額を伝えるための「適格請求書」制度です。


  2019年10月から消費税が10%に引き上げられる一方で、飲食料品と新聞代は税率8%に軽減されました。税率が2種類になったので、同じ取引で売り手と買い手が使う税率の食い違いを防ぐためにインボイスが導入されました。


  これまで売上高1000万円以下の事業者は免税でした。10月からはインボイスを発行するため課税事業者になるか免税事業者のままでいるか、究極の選択を迫られます。課税事業者になれば税負担が新たに生じます。免税事業者を続ければ販売先の税負担が増えるため、契約解除で仕事が減るでしょう。


  政府は免税事業者から課税事業者への転換が進み、国は年間2000億円程度の増収になると試算しています。軽減税率の導入によって国は約1兆円の減収となりましたが、その穴埋め財源の1つが小規模事業者泣かせのインボイス導入です。


  消費税には、所得の低い人の負担割合が多くなる「逆進性」という問題がついて回ります。自公政権はそのために軽減税率を導入しましたが、金持ちの食料支出の負担も軽くなるので逆進性対策の効果は薄いと思います。


  私はカナダやニュージーランドなどが導入している「給付付き税額控除」(消費税負担分を低所得者に還付する制度)こそ、有効な逆進性対策だったと確信しています。でも、いまさらそもそも論を語っても仕方ありません。


  制度が周知されていたか円滑に取引が行われているか、まずは注視していきたいと思います。マイナンバーカードを巡る混乱のようなトラブルが起こらなければいいのですが…。


  

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