詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1378 『日銀は動かず政府はバラマキ』

2023/10/02

  消費者物価(生鮮食品を除く)は、2021年9月から2年間にわたり上昇し続けています。22年4月からは日本銀行が目標とする2%を上回っています。約1年にわたり3%台の物価上昇となっています。


  インフレが国民生活を脅かしていることは明々白々です。でも、日銀はデフレ脱却に至っていないとして、依然として緩和を基調とした金融政策を推進しています。原油高によって世界的にインフレ圧力が根強い中、日本は円安も再燃し物価に二重の上昇圧力がかかっています。


  にもかかわらず、日銀は政策修正に慎重な姿勢を崩しません。2016年1月、日銀が0.1%のマイナス金利導入を決定した当時、EU、スウェーデン、デンマーク、スイスもマイナス金利を導入していました。しかし、今は日本だけです。


  同年9月からは、長期金利もゼロ%程度に誘導する「長短金利操作」(イールドカーブ・コントロール)も導入しました。かつて、オーストラリアが挑みましたが失敗しました。米国も検討しましたが断念した曲芸のような難しい政策です。日銀は効果不明のこの政策を7年も続けています。


  インフレ退治が世界の潮流ですが、日本だけが「井の中の蛙」状態です。急な政策転換は混乱を招きますので、そろりそろりと出口を探し始める政策の柔軟化に踏み出すべき時だと思います。


  岸田文雄政権も物価高を放置し続けてきました。6月に通常国会を閉じて以来長い夏休みに入ってしまい、国民生活や日本経済を審議する場がありませんでした。その岸田総理がようやく重い腰を上げ、9月26日に総合経済対策をとりまとめるよう各閣僚に指示しましたが…。


  10月中にとりまとめるとのことですが、スロー過ぎます。財源の裏付けとなる補正予算づくりに3週間は要しますので、国会提出・国会審議は11月~12月になるでしょう。政府・与党だけで賑やかに1か月議論し、メニューがまとまったら料金は「時価」として、臨時国会冒頭に解散するのでしょうか。


  財政法は補正を「特に緊要となった経費」などに限るとしています。だから、かつては補正予算の規模は数兆円でした。ところが、コロナ禍で一気に膨らみ、2020年度は約73兆円、21年度は約36兆円、22年度は31兆円を計上しました。今回も規模ありきで水膨れする気配です。


  GoToキャンペーンや持続化給付金などの巨額事業が大手コンサルや広告代理店に委託されましたが、中には1人1時間あたり3万3950円もの人件費が請求されていました。最低賃金の全国平均が1004円と、初めて1千円台になりましたが雲泥の差です。


  岸田総理は思い切った政策をと表明しましたが、選挙を前に思い切ったバラマキをする可能性があります。必需品の値上がりで困窮している人を支援することなどに的を絞るべきです。世界一の借金大国なのに「湯の中の蛙」(ゆでガエル)のように危機感が足りません。


  

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