詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1380 『物価を上げたいのか下げたいのか』

2023/10/16

  通常国会が閉会したのは6月21日でした。内外ともに議論すべき課題が山積しているにもかかわらず、国会はその後7月、8月、9月と長い長い夏休みに入ってしまいました。


  岸田総理は9月13日、内閣を改造し閣僚を大幅に入れ替えました。本来ならば速やかに国会を開催し、総理及び各大臣は所信を表明すべきです。ところが、なかなか重い腰を上げようとしないため、立憲民主党をはじめとする野党は9月27日、臨時国会の早急な召集を求めました。


  そして、ようやく10月20日、第212回臨時国会が開かれることになりました。ところが、喫緊の課題である物価高対策の実質的な審議に直ちに入れるわけではありません。政府・与党が長い夏休みの間に、きちんと宿題をやり終えていなかったからです。


  岸田総理は今月中に経済対策をとりまとめるよう指示しました。財源を裏付ける2023年度補正予算案の編成には約3週間は必要ですので、補正予算案の国会提出は11月中旬以降になるでしょう。その成立は早くとも11月下旬になると思われます。


  帝国データバンクによりますと、10月の飲食料品値上げは4,634品目に上るそうです。昨年は累計26,237品目の値上げが実施されました。今年は既に実施されたものに今後予定するものを含めると、累計で31,887品目になりそうです。岸田政権の対応の遅さと鈍さは致命的です。


  何でもかんでも値上げが2年も続いているのですから、明らかにインフレの時代です。しかし、政府は現下の物価情勢を「デフレではないが、デフレ脱却ではない」と、国民の生活実感からかけ離れたチンプンカンプンな認識を示しています。しっかりと問題の本質を認識していないから、問題を解決できないのではないでしょうか。


  植田和男氏が日本銀行総裁に就いて半年たちました。が、まだ黒田日銀の異次元の金融緩和、すなわち「物価を上げる」政策を踏襲しています。岸田政権が指示した5本柱の経済対策も、物価を上げたいのか下げたいのか判然としません。


  たとえば、国土強靭化。要は公共事業です。経済全体の需給関係を示す需給ギャップがマイナスの時は、公共事業をふやすことは有効な政策です。ところが、内閣府によると最新値の4~6月期で+0.4%と3年9か月ぶりにプラスに転じています。このタイミングに公共事業を追加することは、物価を引き上げることになってしまいます。


  必需品の値上がりで困窮する人たちを救済することは急務です。そのための財政支出は断固支持します。しかし、的外れな対策を羅列して規模を水膨れさせた補正予算は、思いきった経済対策ではなく、思いきったバラマキ選挙対策だと喝破しなければなりません。


  

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