
かわら版 No.1484 『組み替え動議』
2025/12/15
青森県八戸市で8日夜、震度6強を観測する大きな地震が発生しました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、北海道・東北・関東の7道県182市町村が「後発地震注意情報」の対象となっています。引き続き緊張感をもって備えていただきたいと思います。
さて、臨時国会の最重要議案であった政府提出の令和7年度補正予算は、「時期」、「規模」、「内容」、いずれの観点からしても、国民の窮状に手が届いていませんでした。
第1に、「時期」の問題です。私たちは、食料品をはじめとする物価の高騰が国民の暮らしを直撃している現状に鑑み、一刻も早い物価高対策の実施を求め続けてきました。
しかし、参院選後、自民党は党内政局に明け暮れ、政治空白をもたらし、補正予算の編成に至るまで、実に4か月もの時間を費やしました。
この間、10月には3000品目以上に及ぶ食料品の値上げが行われ、国民生活は「食卓の危機」ともいえる厳しい状況に置かれ続けました。補正予算の編成を今日まで遅滞させた自民党の責任は、極めて重いと断ぜざるを得ません。
第2に、「規模」の問題です。今回の経済対策は、減税措置を含めて21兆3000億円規模とされていますが、現在のようなインフレ局面において過度に大きな財政出動を行えば、インフレを更に助長し、かえって国民生活を窮地に追い込みます。
この中には、総額2兆5000億円にも及ぶ基金への支出など、財政法が補正予算に求める「緊要性」の要件を明らかに欠く支出が多数計上されています。
また、今日の補正予算では18兆3000億円の支出を賄うために、11兆7000億円もの国債を発行することになっています。金融市場に不安を与えかねません。円安が進み、更なる物価高となれば、そのツケを払わされるのは国民です。高市総理は「責任ある積極財政」と謳っておられますが、「無責任な放漫財政」になりかねません。
第3に、「内容」の問題です。我々の提案も踏まえ、子ども1人当たり2万円の現金給付が盛り込まれたことは、一定の評価をします。が、中低所得者層に対する給付が欠如している点は、全く不十分です。
とりわけ、この間給付の対象となってきた住民税非課税世帯には該当しないものの、物価高により厳しい状況に置かれているいわゆる「働く貧困層(ワーキングプア)」や年金だけで暮らしている高齢者層に対する支援が欠けていることは、政治の怠慢です。
以上の認識に基づき、政府提出の令和7年度補正予算については反対しました。一方、政府案の「緊要性」のない支出を減額・削減し、歳出規模の適正化、国債発行額の減額を図るとともに、中低所得者層に対する現金給付などを盛り込んだ「組み替え動議」を、公明党とともに共同提出しました。
残念ながら、与党の反対により否決されてしまいました。しかし、改革中道勢力の結集に向けた第1歩を踏み出せたと思います。