
かわら版 No.1491 『ひるむな日本』
2026/03/02
長年にわたり日米同盟の強化に尽力されてきたリチャード・アーミテージ元米国国務副長官は、昨年4月に逝去されました。私も幾たびかご助言を頂いたことがありますが、米国屈指の知日派だったと思います。
そのアーミテージ氏が急逝する前に未完の原稿を準備していました。仮題は「不確実な時代において、日本は自国のグローバルな役割に自信を持ち続けよ」。
その中で「米政権が不確実性と混乱をもたらしているからこそ、世界は日本をこれまで以上に必要としている。何をすべきか迷ったり不安になったりすべきではない」と、説いています。
実際、日本は世界から信頼されている国の筆頭格です。ASEAN(東南アジア諸国連合)の有識者調査においては、7年連続で最も信頼できる国・地域の1位に選ばれています。特に、国際法を尊重する姿勢が高評価につながっています。
ルールを守ることが日本の持ち味だとすれば、その特徴は国連分担金の支払いにも表れています。国連はすべての加盟国に経済規模に応じて分担金を割当て、活動経費などにあてています。ところが、第1位の米国は滞納が続いています。第2位の中国の支払いも不確実。第3位の日本は、年度初めに1年分をしっかりと支払うため、国際社会はわが国の貢献を高く評価しているのです。
ルールを愚直に守り続けてきた日本だからこそ、自民の小野寺税調会長も「むちゃくちゃだ」と言う理不尽な関税政策を続けるトランプ大統領に、通商のルールを守るよう訴えるべきではないでしょうか。
国際法を遵守してきた日本だからこそ、力による現状変更は許されず紛争は平和的に解決すべきだと、米国にも、中国やロシアにも主張できるのではないでしょうか。今月の総理訪米の際はアーミテージ氏の遺稿も踏まえて、米国にひるまず言うべきことは言ってほしいものです。
奇しくも3月6日、世界の中で最もトランプ大統領に毅然と物を言い続けているリーダー、カナダのマーク・カーニー首相が来日します。
本年1月20日、カーニー首相がスイスで開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)で行った演説は、ダボス史上最高の演説といわれています。米国を軸とする国際秩序が崩壊した今、ミドルパワー(中堅国家)の連帯を連携によって対応していこうとのビジョンが多くの人々にアピールしたのでしょう。
既にカナダや欧州は、積極的に貿易相手の多様化を図り、米国なき秩序づくりを進めつつあります。日本も唯一の同盟国である米国との関税や投資の交渉をしながらも、カナダや欧州、ASEANとの連携を一層強化していくべきです。
総理訪米前の日加首脳会談に注目したいと思います。