
かわら版 No.1494 『出口戦略なき米国の迷走』
2026/03/23
トランプ氏の悪癖は、出口戦略もなく独善的な政策をゴリ押しすることです。世界一の経済大国であり軍事大国である米国大統領のこの悪癖が、今や世界最大のリスクです。
2月20日、米国最高裁がトランプ関税の大部分を違憲と判断しました。法的敗北の後に取るべき賢明な対応は、出口戦略をとり、新たな関税を断念するか一時停止することだったと思います。そして、粛々と違法関税の払い戻しに応ずるべきでした。
ところが、大統領は最高裁に対し激怒し、過去の時代の遺物のような法律を根拠に、新たな関税を課すことを決めました。これもまた法的争いに発展する可能性があります。大統領の関税に対する執着は、米国内の混乱を長引かせるだけではなく、貿易相手国や企業にとっては迷惑千万です。
2月28日、トランプ大統領が野球帽をかぶりスポーツ観戦するかのように始めたイランとの戦争も終わりが見えません。当初は「小さな遠足」などと安易に表現していましたが、ホルムズ海峡が事実上封鎖され原油価格が高騰しています。しかも、戦争は長期化する様相です。
焦ったトランプ大統領は海峡の安全確保のため、日本を含む複数の国々に艦船派遣を要求したり、支援必要なしと撤回したり…。発言が二転三転しています。そもそも、米国が勝手に始めた戦争の代償を、なぜ他国が払わなければならないのでしょうか。
各国は理不尽な圧力にどのように対応すべきか、まさに悶絶しています。原油産出国のロシアが火事場泥棒のように儲かる状況も、理不尽極まりません。
米国は日本にとって唯一の同盟国です。そのリーダーが賢明さを欠く人物ならば、その判断ミスを巧みに補う役割を果たすべきです。トランプ大統領がこの戦争をどう終わらせるかをよく考えないで始めたとしたなら、その出口探しのお手伝いをするべきです。
イランは日本にとっては友好国です。特に、アラグチ外相は駐日大使を務めたことのある親日家です。東日本大震災の折には夫人や大使館シェフらと共に被災地に入り、炊き出しの先頭に立って支援してくれました。
日本のすべきことは、国連憲章に違反する戦争に加担し、ホルムズ海峡に艦船を派遣することではありません。米・イスラエルの対イラン戦争を終結させること、停戦の実現だと思います。
最も有効な物価高対策は、ガソリン税や軽油引取税の暫定税率の廃止や電気・ガス代の補助ではなく、第3次石油ショックを招かぬように停戦することです。
次に必要な物価高対策は、行き過ぎた円安の是正です。具体的には徐々に利上げを行い、円高へ誘導するしかありません。3月18、19日の日銀金融政策決定会合では判断を留保しましたが、来月の決定会合では決断すべきでしょう。