
かわら版 No.1498 『3つの危惧』
2026/04/20
私は繁栄、平和、幸福を実現するための国家経営の要諦は、3つあると思っています。第一は、政と官の協働。第二は、日米同盟を基軸とした外交・安保。第三は、皇室を大切にすることです。いずれも黄色の信号が点滅しているのではないでしょうか。
一、政と官
高市総理は高い支持率を背景に、トップダウン型の政策運営を展開しています。強力な指導力はリーダーに求められる資質ですが、持論をゴリ押しするために他の人の意見に耳を傾けなくなると独善に陥ります。
残念ながら高市官邸は、相当に風通しが悪くなってきているようです。官僚によるレク(事前説明)なしの国会答弁は常態化しています。総理に耳の痛いことを直言すれば疎まれます。異論・反論など口を挟む余地がありません。
しかし、孤高の人が1人で考え1人で決断することにより、国難を克服できるはずがありません。霞が関の官僚とは適度な緊張感を保ちつつ、その総力を結集して様々な課題に立ち向かうべきです。官邸の求心力の低下がとても気になります。
二、日米同盟
同盟国である米国との関係を進化させることが、日本の外交・安全保障戦略の基軸です。一方、わが国は戦後80年にわたり力による現状変更に反対し、紛争の平和的解決を訴え続けてきました。この日米同盟と平和国家としての歩みに齟齬が生じています。
そもそもイランが米国やイスラエルとの戦争を始めたわけではありません。国連憲章違反ともいえる攻撃を始めたのは、同盟国・米国でした。しかも、トランプ大統領は「石器時代に戻す」「文明の消失」とまで言及しており、その軍事行動を正当化することはできません。
少なくとも「世界に平和と繁栄をもたらすのはドナルドだけ」と、過剰に礼賛すべきではありません。故安倍元総理は2019年、米国とイランの対立が深刻化する中、仲裁役として緊張緩和を目指しました。今こそ、パキスタンのような役割を日本が果たすべきです。
三、皇室
総理時代、上皇、上皇后両陛下の国民に寄り添うご活動が、日本国民を統合していると強く認識しました。皇室を大切にし、絶対に皇統を途絶させてはなりません。ですから2017年、約200年ぶりに天皇の生前退位を実現できた時は、憲政史上に残る成果だと思いました。
立法府の総意をまとめることができたのは、国民世論の圧倒的な支持があったことが最大の要因です。そして、当時の安倍総理が自説に固執せず与野党の合意形成を図ったことと、衆参正副議長の周到かつ丁寧な運びの賜でもありました。
今般の皇族数確保を巡る議論は、その教訓が生かされていません。与党は「旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える」案を「第一優先」として公約に掲げ政争の具にしています。衆院議長も国民の理解が全く深まっていないにもかかわらず、皇室典範改正を急いでいます。