
かわら版 No.1503 『個人情報保護法改正案』
2026/06/01
2003年の個人情報保護法及び関連法の制定時、私は法案を審議する衆院内閣委員会の筆頭理事でした。個人情報は「官僚のものではなく国民のもの」である原則を強調して、徹底した情報管理と国民の権利保護を強く主張しました。そして、個人のプライバシーが官民問わず不当に侵害されないよう、法案の監視・監督機能やルールの厳格さを求めて議論をリードしました。
同法は2005年に施行され、3年ごとに海外の動向やIT(情報技術)の進展、新たなビジネスの状況を勘案して見直す規定があるので、累次にわたり改正を重ねてきました。そして、今国会にも個人情報保護法改正案が提出され、5月26日、衆院本会議で可決され、衆院を通過しました。
今回の改正案は、「AI(人工知能)開発の促進」や「データ利活用の円滑化」を図る狙いがあります。しかし、これまでの個人情報保護法の歴史と、国民のプライバシー保護の努力を後退させる法案であり、中道改革連合は反対しました。以下がその理由です。
いまは人種、信条、病歴、障害、犯罪歴など、差別や不利益に直結しかねない、最も慎重に保護されるべき「要配慮個人情報」を企業などが取得したり、取得した個人データを第3者に提供したりする際、本人の同意が原則義務づけられています。ところが、改正案はAI開発を含む「統計作成等」の目的であれば、本人の同意を得ずに要配慮個人情報を取得し、さらに第3者に提供できるようにしています。
委員会質疑においても、統計作成等の目的ならば病院が患者の病歴を名前や住所付きの生データの形で本人の同意なく、第3者である企業や個人事業主等に渡すことができるようになることが明らかになりました。EU等国際社会においては医療情報は極めて機微性の高い情報として厳格に保護されています。
AI開発競争が激化する中、わが国の競争力を強化しなければなりません。だからとはいえ、事業者側の利活用を著しく優先するあまり、個人の権利利益保護を根底から揺るがしてはなりません。これが法案に反対した最大の理由です。
反対の第2の理由は、情報漏えい発生時における事業者からの本人通知義務が緩和されている点です。しかし、情報漏えいを最も早く把握すべきは本人です。被害の有無や深刻性を判断する主体も本人であり、事業者ではありません。
第3の理由は、不正な個人情報販売で利益を得た事業者に対する課徴金が不十分だからです。対象は千人分を超える個人情報の場合に限られ、企業による「安全管理措置義務」違反は対象外となるなど骨抜きになっています。
第4は、被害者本人が単独で訴訟に踏み切ることは現実的でないため、消費者団体等による訴訟も認めるべきでしたが、団体訴訟は見送られました。
法案は参院に送付されました。成立を阻むべく、立憲や公明と連携したいと思います。