詳細 | かわら版 | 衆議院議員 野田 よしひこ

かわら版 No.1504 『予備費の乱用』

2026/06/08


  米国・イスラエルによるイラン攻撃以降、エネルギー価格の高騰、物価高、石油製品の供給不安が、日本経済と暮らしを直撃しています。だから、中道改革連合は緊急経済対策のとりまとめと補正予算案提出を、政府に強く求めてきました。


  ようやく6月3日、総額3兆1135億円の令和8年度補正予算案が閣議決定され、国会に提出されました。ところが、中身を見てビックリ。そして、ガッカリ。


  まずは、上昇が見込まれる7~9月の電気・ガス代補助に当初予算の一般予備費1兆円から5135億円を取り崩したため、補正予算案で同額を予備費として計上しています。さらに、今月下旬にも財源が枯渇する可能性があるガソリン補助金の財源等に充てるため、「中東情勢等対応予備費」を創設し2.5兆円計上しています。


  すなわち、自治体が使い道を自由に決められる「重点支援地方交付金」1000億円以外は、すべて予備費。3.1兆円強の歳出総額のうち、97%も予備費が占めています。国民の命と暮らしを守るために税金の使い方を何ら示すことなく、政府に「白紙委任」を求めるものであり、「財政民主主義」の精神に反します。


  3日午後の衆院本会議で、片山財務大臣の財政演説と各党による補正予算案に対する代表質問が行われました。この日の午前に開かれた衆院決算行政監視委員会では、私が質問に立ちました。奇しくも議案は、令和6年度に使用された予備費でした。


  令和6年9月3日、政府は燃料油価格激変緩和対策事業等に必要な経費として、9854億円の予備費使用を閣議決定しました。ところが同年10~12月の軽油販売5社が価格維持や値上げに合意した行為が、今年の4月にカルテルの疑いで起訴されています。


  ガソリンや軽油などの燃料油の価格抑制のため政府が巨額の補助金を投入していた最中に、不正な価格調整が行われていたとしたら言語道断です。補助金を受け取る業界全体の法令遵守体制の強化、徹底が厳しく問われている時に、性懲りもなく同じスキームで令和8年度補正予算案を編成するとは…。


  一般予備費は従来は5千億円程度でしたが、コロナ禍以降は兆単位となり、なかなか平時に戻りません。物価対策等の特定目的の予備費も毎年のように創設され、補正予算を組むたびに盛り込まれています。私は、この尋常ではない状況を「早く正常化しなければならない」と、指摘しました。


  本来予備費は大きな自然災害が発生するなど「予見し難い予算の不足」が生じた時に対応するためのものです。ところが、政府はこれを拡大解釈し「乱用し過ぎている」と、片山大臣に厳しく迫りました。


  予備費は政府の裁量で使い道を決められます。その巨額化は財政民主主義を骨抜きにし、財政規律をゆるめます。しかも、今般の補正予算の財源は赤字国債です。しかし、政府は熟議を避け白紙委任を求めるかのように、5日にスピード成立させました。極めて遺憾です。


  

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